チナール絨毯工房のトルコ絨毯ができるまで

ツアーで訪れることが多い、トルコ絨毯工房。数多くのメーカー品を取り扱う絨毯専門店ではなく、工房を訪れることは、トルコの文化伝統を知る上で、とても有意義なものです。トルコには、昔ながらの手織り絨毯の手法を守り続ける工房が多く残っていて、絨毯づくりに携わって生計をたてる人が本当に多くいます。それだけ、トルコ国内・中東・西洋各国でのニーズが高く、トルコ経済にとって不可欠なものです。本物の絨毯の上を歩いた時の、足元からくるあのリラックス効果は、自宅でやすらぎを得るために、とっても大切なものです。あまり日本では詳しく解説されていない、トルコ絨毯の特徴と作り方をお教えします。

まずは、絨毯とトルコ絨毯の概要について説明します。チナールハルについてだけ知りたい方は、次頁へどうぞ!

 

絨毯の歴史

絨毯の歴史は、すでにさまざまなサイトにて公開されている通り、先史時代(紀元前3500年ほど前)までさかのぼると言われていて、現在の中東からコーカサス地方にかけての地域で作られたことが、始まりとされています。トルコにおいての歴史は、ビザンチン時代に平織りのカーペットが広まっていたようですが、トュルク民族セルジューク朝が侵攻してきた後、本格的な絨毯文化が浸透していったようです。元々は騎馬民族であることを考えれば、もっともなことです。その後、オスマントルコ帝国時代にかけて、現代の絨毯織りに繋がるための技術が、大きくステップアップしたとされています。

ヘレケのオールド絨毯

オスマントルコ帝国時代には、初の民間絨毯工房であるヘレケ村の絨毯工房が、スルタンの勅令により、ドルマバフチェ宮殿の絨毯やカーテンなどのファブリック全般を用意。その後もスルタン後援の下で名声を保ち続け、今もなお、トルコ最高級ブランドの名を維持しています。トルコ独自の「ダブルノット」製法は、ヘレケによって始まったとされ、そのデザインも、ペルシャの影響を受けない独自のデザインです。その伝統と文化は、他の手織り絨毯工房にも引き継がれています。

 

「トルコ絨毯」といわれるものの種類

トルコ国内で「トルコ絨毯」とされるものを大きくわけると、商業用と伝統的な手織りに分類されます。トルコ家庭のすべてが、手織りの絨毯を使えているか、と問われればそうではなく、やはり日本と同様、商業用の安い絨毯が多く流通しています。日本でも人気の、イギリス生まれのウィルトン織、アメリカ生まれのタフテッドは、いずれも17~18世紀頃に生み出された機械織りで、商業用に分類されます。

ウィルトン織やタフテッド、そのどちらもトルコ国内でも生産されており、「トルコ絨毯」として販売されています。さらに、使われている糸は化学繊維であることが多く、トルコ国内で消費されることはもちろん、海外にも輸出されていて、観光客向けのお店でもおすすめされることがあります。値段が安い上、デザインもトルコ絨毯っぽいものがあるので、お土産にも良いものです。

 

伝統産業を守り抜くために

量産しやすい商業用の需要と共有が増大し、伝統的な絨毯織り手が少なくなっていることに危機感を感じた、トルコ政府の文部省にあたる国家教育省は、「TÜRKİYE EL DOKUMA HALI(トルコ手織り絨毯)」の織り手となるための、生涯学習コースを設置。それは、織り手となるための、重要な資格です。このプログラムを修了した織り手さんたちが、一枚一枚何時間、何日、大きい物なら数年もかけて織り込むのが、手織り絨毯です。

トルコ中に絨毯工房が点在しているものの、一番手織り絨毯の工房が多いのは、中央アナトリア地域です。他地域が、数十カ所程度なのに対し、200以上の工房があります。特に、コンヤとカッパドキア地方に集中しています。

 

ペルシャ絨毯・段通(だんつう)との違い

トルコ絨毯の大きな特徴としては、「ダブルノット」とよばれる織り方です。縦糸二本それぞれに結び目を作る独自の製法で、これによって他の絨毯よりも丈夫で長持ちする、良い絨毯となります。絨毯発祥の地とされる、イランのペルシャ絨毯と中国生まれの毯子(タンツ)・段通(だんつう)は、この結び目が一つである「シングルノット」です。それぞれの違いを知り、良いものを選んでおきたいものですね。

次ページでは、チナールハルの絨毯づくりを紹介します。

 

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