カッパドキアで気球ツアー | トルコの世界遺産で感動体験!
公開日 2023年5月31日 最終更新日 2023年10月16日
概要
世界遺産カッパドキアでは、謎の地下都市を探検し、地上のきのこ岩を見物し、空から地球外のような景色を眺める…その前に帰るなんて、勿体ないかもしれません。実際、高所恐怖症だった私でも後悔しました…。YouTubeやInstagramで火がついた、カッパドキアの気球ツアーは、お値段は決して安くはないものの、一生に一度と体験として、ぜひとも参加しておきたいところ。朝日に照らされたカッパドキアの奇岩群を、上空300メートルから見ることができる、熱気球ツアーを、ご紹介します。
カッパドキア気球ツアーとは?
気球は、日本であまり乗るチャンスは少ないように思います。最近だと、佐賀でインターナショナルバルーンフェスタが開催されているほか、各地で体験試乗ができるイベントが開催されています。カッパドキアの気球ツアーは、2001年にはすでに、外国人観光客に人気のツアーでした。日本からの団体ツアーでは、オプショナル・ツアーとして用意されていましたが、参加者はまばらで、現在のような人気はまだまだありませんでした。
初めてカッパドキアで熱気球がとばされたのは、1989年。その翌年には、現存する会社のうちの一つであるカッパドキア・バルーンズが設立されています。
トルコ航空協会(THK)が力を入れ始めた1998年以降、2000年代にかけて、ギョレメ・バルーンズ、スルタン・バルーンズ、アナトリアン・バルーンズなどの会社が設立され、どんどん気球は増え続け、現在は、100社近くの会社があるようです。夏のオンシーズンになると、カッパドキアの空は気球だらけになり、バーナーの音がギョレメの空に響き渡ります。
カッパドキアの気球は安全?
安全面はどうなのでしょうか。気球は、静かにふわっと上がり、それ以降は段階的に高くなっていくもののようです。最初はバーナーの熱と騒音に胸が高鳴りますが、上空まで行ってしまえば、朝日に照らされながら、ほどよく気持ちの良い風に吹かれる、最高の時間になります。
では、絶対に安全なのか?これまで事故はなかったのか?正直なところ、ゼロではありません。2013年、カッパドキアのオルタヒサル地区上空で、バルーン同士が衝突して3人の方が亡くなったことがありました。また、2018年にも高圧線に衝突して、1人の方が亡くなっています。
2018年のほうは、荒天となったため、パイロットがフライトキャンセルし着陸しようとしたものの、乗客が反対して、もめている間に衝突してしまったものです。対して、2013年の事故は、パイロットのトレーニング不足であるとされています。この2013年の事故以来、パイロットの育成と資格とに力を入れ、トルコ民間航空局のパイロット資格が必須となり、事故がなくなっています。
パイロットは免許を取得した上で、2,500~3,000時間以上の飛行経験があるのだそうです。気球の風船部分は、摩耗性の高い素材で作られていて、万が一、鳥がクチバシで突っついてしまうことがあったとしても、安全に飛行できるものです。
また、バーナーでガスを送って飛ぶ仕組みの熱気球には、予備のバーナーが2本あるから、安心。何より、パイロットは明るくて面白い人が多いので、あまり不安には感じません。英語ができる人とできない人はいるようですが、心が通じ合えば、十分信頼関係は成り立ち、すてきなフライトになります。
気球ツアーは、トルコ航空協会の規定により、風速11kmを超えた場合や、大雨、荒天などの天候理由によりキャンセルすることがあります。毎朝天気が良いとは限らないカッパドキアだから、早めの日程で参加申込をしておいたほうがいいかもしれません。「あと数日滞在するから、最終日のお楽しみにとっておこう♡」なんて考えていると、最終日に限って、満席や天候不良で乗れないことがあります。
価格はいくら?高い?値段設定の本当
気球ツアー代は、2001年当時も、約2〜3万円ほど。COVID-19後、物価高騰をうけての価格は、3〜5万円ほどと、だいぶ値上がりしました。どのツアーでも、ホテル送迎、軽めの朝食、ノンアルコールシャンパン、フライト証明書がつきます。バスケットに乗る人数が多ければ多いほど安く、少ないほど高くなります。また、季節ごとや混雑具合によって、値段設定は異なり、催行会社によってもマチマチです。
私たちが目にする気球ツアーは、通常、すべて乗合で45分〜60分のフライトです。プライベートの場合、旅行会社ごとにバスケットを買うパターンもあるようですが、通常のプライベートは、お客様単位でまるっと買うパターンです。まだ暗い早朝に出発でき、通常より長い60〜90分のフライト、というのが最大の魅力です。完全に貸切だと、1バスケット15万円〜です。
実は、日本の旅行会社やVeltraなどを経由して予約すると、現地旅行代理店+日本の旅行代理店への手数料が含まれるため、現地で直接予約するよりも、多少高くなります。日本の場合は競合が少ないからか、より少し高め設定に感じます。予約する際は、私たちのサイト、Viator、トリップアドバイザーもあわせて確認して、最も良いものを選ぶのがベストですね。
45分のフライトでこの景色を拝めるのなら、決して高くはなかった、乗ってよかった価値あり、というのが正直な感想です。
飛行時間は?
飛行時間は、45〜60分、60〜90分、のいずれかです。一般的なのは、45〜60分のフライトです。プライベート(貸切)の場合は、60〜90分になります。ノンアルコールシャンパンをシャンパンにできる「かもしれない」という噂です。
頼れる熱気球ツアー催行会社は?
カッパドキアで気球を飛ばす会社は、おおよそ100社ほどあります。正直、「ここがオススメ」という会社はありません。せっかく参加するので、催行会社にもこだわりたい、という方もいらっしゃると思います。その場合は、前述した古参の催行会社に直接予約するという方法があります。
会社による差分は特にありませんが、もしも、あるとするのなら、パイロットに対しての差分かもしれません。海外の方からは、「英語が話せるかどうかも大切だ」という意見も聞かれます。また、風にのってどう飛ぶかは、パイロットの判断です。パイロットが「よかれ」と思って高く飛んでも、乗客が「今はもっと低くていいのに…」と思うこともあるかもしれませんね。
なぜ早朝フライト?その理由とおすすめのシーズン
熱気球の朝はとにかく早いです。すっぴんに帽子とサングラスで行くにしても、4:00-5:00には起床しなければならないため、前日は早めに就寝します。熱気球が早朝から行われる理由は、「熱気球は、風まかせに、バーナーと外気の温度差で飛行するもの」だから、大気が安定している朝が最適なのだそうです。
そして、朝日に照らされたカッパドキアはとても美しいものです。風や気候がもっとも安定しているのは、春(4~5月)と秋(9~11月)だとされていますので、おすすめはそのあたりです。上空は夏でも涼しいので、羽織るものをお忘れなく。
熱気球ツアー体験談
早朝/送迎
まだ真っ暗なうちから準備して集合場所へ。前日の夜に電話が来て、明日の集合時間と場所を確認してある。スマホ、上着、水、そしてカメラ、パスポートも必ず持参。バックに詰め込んだら、待ち合わせ場所へ。宿泊していたホテルは、道路が狭くお迎えのバスが入れないということで、丘の下まで歩いて行くことに。まだ暗いから気を付けて。
お迎えはミニバンで、ドライバーさんが一人。軽く挨拶して、車へ乗り込む。5月だというのに、外は本当に冷え込む。厚手のパーカーでもちょっと寒いので、ライトダウンは必須。ヒートテックを中に着こんだりして。バスは、他のホテルでお客様を何組かピックアップし、私を含めて合計6人乗り込んだところで、気球の出発地へ。一人旅で参加している人も多いみたい。
無料の軽食
バスをおりて、気球の離陸地へ…ではなく、どうやらその前に、ツアー催行会社の事務所らしき建物の中へ行くみたい。テーブルの上には、パンや野菜、チャイ、お水が置いてあり、これが無料の朝食か。「水分は控えめにしたほうがいいよ」「出発前にトイレはすませておいてね」と案内される。チャイやコーヒーはやめておこう。
軽食を取り、声を掛けられるのを待っていると、20分くらいで再び外へ誘導され、またバスに乗車。どうやら、このバスに乗って、気球のもとへ移動するよう。外はまだまだ真っ暗で、そして、寒い。上空は大丈夫だろうか…。このドキドキがたまらないんだなぁ。こういうアドレナリンが旅行の善きところ( ꈍᴗꈍ)。
気球が膨らむところを見学
バスを降りたら、そこには他にもたくさんの気球。こんなにたくさんの人が参加するのか、と驚きながらも、あちらこちらで轟音をたてて気球に光が入り、本当にきれい。早いところだと、もう空に上がっている気球もあってびっくり。
15~20分くらい、目の前の私たちが乗るだろう気球が、ゴォーッとすごい音をたてて膨らむ様子を、ただ観察。寒いけれど、すっかり興奮して、あっという間に時間が経過。
いよいよ搭乗
いよいよ気球へ乗り込むとき。バスケットをまたぐのを躊躇せず、がばっとまたいで、いざ出発!ふわっと浮いたら、あっという間に高いところまで来ている。もともとあった高揚感はさらに高揚してやばいくらい。すごすぎて、言葉が見つからない。パイロットは英語がペラペラで(トルコ語なまりだけど)、ジョークを交えながら、「あれがローズバレーだよ」とか案内もしてくれた。
上空はすごく静か。定期的な、バーナーのゴォーッという音と熱とが耳や肌に心地よく触れる。そのせいか、思ったより寒さを感じません。
かるい高所恐怖症の私でも、もう感動しかない感じです。いいなぁ、地球は。何千年だか前に、地球が造った素晴らしい景色は、日本から遠いところに来てるという、嬉しさなのか、寂しさなのか、なんだかよくわからない感情を感じたり。「カッパドキアはスターウォーズの世界」なんてよく聞くけれど、本当に異世界。
めったにできない体験だから、写真や動画をたくさん撮って帰ろう!
ランディングも興奮
本当にあっという間の45分を終えて、着陸。何がびっくりって、トラックの上にふんわりと着陸するのには、全員が拍手喝采。思ったほど衝撃がなくて、ふわっと着地。パイロットさんは意外に若かったけど、さすがプロ、と関心しきり。
乾杯!そして証明書ゲット!
シャンパンかと思ったら、ノンアルコールのシャンパン。この後の旅程に支障をきたさないように、との配慮かな。搭乗証明書もいただいて、興奮冷めやらないけど、ひとまずホテルへ帰りましょう。
ホテル到着
時刻はまだ9時前。ひと眠りする人や、シャワーで暖まる人、朝ごはんの食べ直しをする人など、さまざまな朝を迎える。次のオプショナル・ツアーに参加する人もいて、バタバタしていた。とにかく興奮が冷めやらないまま、カッパドキア旅行の、新たなる一日がまた始まった。
追記
翌日。ネヴシェヒルの空は、こんな風に熱気球に彩られていた。一生に一度の思い出、とはいうけれど、機会があれば、また乗ることがあるかも知れない。とにかく、最高に楽しかった!