トルコのユネスコ世界遺産 | ヒエラポリス-パムッカレ
公開日 2021年8月8日 最終更新日 2023年6月12日
概要
エーゲ海地方にあるデニズリ市パムッカレ地区には、一度見たら忘れられない真っ白な石灰棚があります。パムッカレとはトルコ語で、パムック(Pamuk:綿)と、カレ(Kale:城)があわさった言葉で、”綿の城”を意味します。イスタンブールやカッパドキアと並ぶ、トルコ三大観光地の一つです。このパムッカレが日本で有名になったのは、1980年代のタバコのCMがきっかけでした。
真っ白な棚田と、陽の光を映す鏡面のような乳白色のプールは、一度見たら忘れられない光景です。パムッカレのこの不思議な光景と、湧き出る温泉は、古代よりヒーリング・スポットとしてローマ人たちの憧れの的でした。パムッカレのすぐ隣にあるローマ遺跡ヒエラポリスは、当時の温泉保養地であり、観光地だった場所です。パムッカレは、1988年にヒエラポリス遺跡とともにユネスコ世界遺産リストに登録され、日本のテレビ番組でも多々取り上げられたことから、さらに有名になりました。
パムッカレの南にある峡谷から、酸化カルシウムを豊富に含んだ温泉水がこの地へと流れこみ、長い年月をかけてこの特異な景観を造り上げました。今もこの温泉水は流れ続けていて、小さな石灰棚は次々と生まれています。地震国トルコには温泉地は多数ありますが、パムッカレの温泉は古代から「病を癒す水」と評判だったそうです。
現代では、パムッカレの石灰棚は国の保護下にあって、アンティークプール以外での遊泳はできず、足をつけるだけが許されています。この泉質をじっくり体験するなら、パムッカレの北にあるカラハユット温泉がおすすめです。
3つの石灰棚
観光客が入場できる石灰棚は全部で3ヶ所あります。ツアーでも訪れる南側が一番広く、メインとなる石灰棚です。南東側の石灰棚は、小規模ながら石灰棚の美観が保たれていて、徒歩ですぐに到達できます。北側の石灰棚は、訪れる人はやや少ない印象で穴場的スポットです。石灰棚の保護のため、温泉が流れる石灰棚は日によって変わります。近年、観光客が増加傾向にあることや、温泉の湧出量が減っていることを理由に、規制をかけながら石灰棚を保護しているようです。
夕日の絶景
石灰棚が一番輝く時は、なんといっても夕方です。夕日でオレンジ色に染まった石灰棚はもう絶景でしかありません。以前は、入場券を一回購入すると再入場可能でしたが、今はできなくなったようです。夕日を見るなら、宿をカラハユット温泉にとって、午後の遅い時間から入場するのがベストです。
ヒエラポリス
ヒエラポリスは、紀元前2世紀にペルガモンの王エウメネス2世によって建設されました。ヒエラポリスの名は妻ヒエラから名付けられています。地震による崩壊を繰り返してきたヒエラポリスは、地震による破壊と再建が繰り返されてきました。西暦80年、イエスの十二使徒の1人である聖フィリポが十字架に磔となったことから、キリスト教徒にとっての聖地となり、巡礼地に加わることとなります。7世紀の地震で大きく崩壊し、そして、14世紀の地震の後、再建されることなく崩壊しました。地震によって崩れた建物は、今も放置されたままです。
古代、ヒエラポリスには2つの門と1kmあるメインストリートがあり、通りの両脇には、アーケード、公共の建物、ショップなどがありました。城壁の周囲にあった墓地(ネクロポリス)は、南西アナトリアで最大のものでした。ヒエラポリスにはこのほか、劇場、アポロン神殿、水路、浴場などがあり、特に現在も残されている劇場は、ヒエラポリス全体を見渡せる名所となっています。
劇場は、ヒエラポリスで最も高い場所にあります。見晴らしのいいフォトスポットですので、劇場だけは見ておくことをおすすめします。歩くと少し遠く、きつい上り坂です。歩くのに自信がない方は、麓にある有料のミニバスを利用すると良いかもしれません。
ヒエラポリス考古学博物館
石灰棚のすぐ近くにあるこの建物は、ヒエラポリス考古学博物館です。規模は大きくない博物館ですが、所蔵・展示している彫刻類は素晴らしいもので、一見の価値があります。何より、遺跡を利用した展示室と敷地内にある石灰棚が、訪れた人を驚かせファンにさせています。
温水プール
湧出量は減っているとはいえ、今も温泉は湧き出しています。源泉のうちの一つは、石柱がゴロゴロ転がっている遺跡の中にあります。遺跡で泳げるプール”アンティーク・プール”です。アンティーク・プールは、パムッカレ観光の休憩やランチの場所ともなっているため、世界中から訪れた観光客でいつも賑わっています。
プールは有料で、ロッカーが用意されています。ケバブサンドやピデなどの軽食メニューを食べられるフードコートが併設されていて、フードコートへの出入りは無料です。フードコートからは、温水プールを楽しむ人の様子をうかがい見ることができます。
バルーンツアー&パラグライダー
トルコでは熱気球ツアーを催行する観光地は続々と増えていて、パムッカレでも乗ることができます。欧米の観光客には、パラグライダーも人気のようです。空から見渡すパムッカレと古代ローマ遺跡、そしてどこまでも続くアナトリアの大地は絶景です。
基本情報
住所 | Hierapolis Arkeoloji Örenyeri ve Müzesi:Merkez,Pamukkale,Denizli,Turkiye |
営業時間 | ※南ゲート(パムッカレ村側)が早朝からオープンし、北ゲート(バス停側)、遊歩道、博物館は8:00以降開場。 ※チケット販売は30分前まで |
料金 | 200TL ※石灰棚、ヒエラポリス遺跡、考古学博物館共通券 |
ミュージアムカード | 可 |
その他情報 | 石灰棚保護の観点から、遊泳は禁止。 夏は照り返しが大変強いので、日焼け止め、帽子、サングラスを持参しましょう。 |
公式サイト | https://www.kulturportali.gov.tr/turkiye/denizli/gezilecekyer/pamukkale-hierapolis-antik-kenti |
アクセス | 最寄りはデニズリ市。デニズリのバスターミナルからミニバスでパムッカレ村まで移動。パムッカレ村から徒歩15分 または、カラハユット温泉経由でも可能。 [地図] |
特典・クーポン | ー |
ギャラリー
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