略奪愛で滅亡!?トルコのユネスコ世界遺産 | トロイ遺跡
公開日 2019年7月28日 最終更新日 2023年10月25日
概要
トロイの木馬で有名なトロイ遺跡は、アナトリア半島の西端・マルマラ海沿いの都市チャナッカレにあります。同じく海沿いにあるエフェソス、ペルガモンとともに、トルコを代表する古代遺跡の一つです。
ホメロスの叙事詩『イーリアス』、『トロイア戦記』に描かれるトロイは、架空の物語と信じられていましたが、ドイツの考古学者シュリーマンがトロイ遺跡を発掘することに成功し、世界中に衝撃を与えました。
加えて、後年に公開された映画『トロイ』によって、さらにトロイが脚光をあび観光客が激増したことは言うまでもありません。トロイは世界での指折りの有名な古代遺跡であるだけでなく、1998年にユネスコ世界遺産リストに登録されています。
エーゲ海最大の町・トロイア
この地域に初めて人が居住したのは、7000年~4800年前ごろとされています。果物や木の実、釣った魚を食べ、陶器と銅器の製作も行っていた痕跡が残されているようです。
トロイには、さまざまな場所から人が集まり、やがて羊飼いたちや青銅器文化が入ってきます。エジプトにピラミッドが建設される400年も前には、要塞が完成していました。小麦や大麦、エンドウ豆、ヒヨコマメ、ソラマメなどの豆類や、さまざまな種類の野菜を栽培していたことがわかっています。こうして、当時エーゲ海最大の街トロイアの基礎が形作られていきました。
9層にも重なる遺跡
大都市トロイアは、繁栄と衰退を繰り返しながら存続したため、その遺跡の層は9つにものぼっています。一番古い層は、紀元前3000年~2500年頃のものとされ、一番新しい9層目は、紀元前85年頃~紀元後500年頃までのものようです。トロイ遺跡の素晴らしいところは、自然災害や戦争で都市が破壊されても、また同じところに街をつくり上げたところにあります。それほどまでに、この地が重要であったということです。
ダーダネルス海峡を望む高台に建設された都市は、エーゲ海最大の都市に成長し、固い壁には鉄壁の塔があり、広い通りがあったこと、風が強い都市であったことが記されています。紀元前300-2500年頃、人々は、南向きのメガロンとよばれる邸宅に住んでいました。都市は、傾斜した壁に囲まれていて、人々を守っていました。建物の基礎部分は石ででき、上部は泥レンガでできていたとされます。
この地を支配したトロイア五世の邸宅や家具は相当豪華だったようです。東向きのアテナ神殿は、トロイアを象徴する建物の一つでした。現在まだ、これらの遺跡は発掘中ですが、ガイドの話に耳を傾けて遊歩道を歩いてみれば、賑わっていた当時の喧騒に心浸ってワクワクします。
ホメロス叙事詩『イーリアス』
紀元前800年ごろに出された、ホメロス著『イーリアス』は名著として知られますが、まだ読んだことがない方が多いのではないでしょうか。ギリシャ神話にも登場するアキレスや女神アフロディーテなどの神々が登場する叙事詩で、トロイ戦争についても描かれています。
スパルタ国王の美しい妃ヘレネとトロイアの王子パリスは恋に落ち、ヘレネは彼とともにトロイへ向かいます。これにはもちろん夫であるスパルタ王は激怒し、軍を率いてトロイアへ攻め込みます。難攻不落で有名なトロイア陥落は困難で、味方には多大なる犠牲がでました。スパルタ軍は、負けを認めて退散するさい、”贈り物”として、巨大な木造の木馬を城の外へ置いて兵を引き上げました。トロイアは勝利を祝い、この贈り物が神への奉納品であると信じ込み贈り物を受け取って、城壁の中に入れます。
ところが、この木馬の中にはスパルタの兵士たちが隠れていたのです。その日の夜、トロイアが寝静まったことを見計らって木馬から出た兵士たちは、引き返してきたスパルタの兵士たちを門を開いて中に入れます。スパルタの兵士らが放った火によって城内は炎上し、あっという間にトロイアは落城してしまいます。
ホメロス『イーリアス』より抜粋
スパルタのパリスは、ヘレネの腕に抱かれ亡くなってしまう、という悲恋のストーリーもあります。映画『トロイのヘレン』に描かれています。
トロイ遺跡の発見とシュリーマン
イーリアスは、あくまで神話を元にした叙事詩であり、歴史上の事実はない、と人々は信じていました。しかし、ドイツの考古学者シュリーマンは、トロイの木馬伝説を真実であると信じていました。当時、シュリーマンは周囲から「狂気である」と冷やかされるも、一向に気に留めることはありませんでした。1871~1873年頃、ついに、現トロイ遺跡のあるヒサルルックの丘を発見し、発掘を開始。見事に遺跡を掘り当て、現在もなお、ドイツによる発掘が続けられています。
トロイ博物館
待ち望まれていたトロイ博物館は、2018年に完成しました。エフェソスやペルガモンなどの他遺跡と比較すると、見どころの少ない遺跡というイメージだったトロイですが、博物館が完成したことにより、トロイ遺跡の価値が急激に向上し始めたようです。
残念なことに、発掘物の多くは海外44カ国に持ち出されています。トルコ政府の呼びかけにより、一部の発掘物が返還されています。
チャナッカレ市中心部にある木馬像
トロイ遺跡の拠点となる街チャナッカレの中心部には、トロイの木馬像が設置されています。こちらは、映画『トロイ』で使用された木馬像で、チャナッカレ市に寄贈されたものです。夜はライトアップもされるので、チャナッカレに宿泊をする場合は写真におさめておくのも良いかもしれません。
基本情報
住所 | トロイ遺跡/Troya Örenyeri:Tevfikiye Köyü,Çanakkale,Merkez,Çanakkale Türkiye トロイ博物館/Troya Müzesi:Merkez District, Tevfikiye Village, Troy 6 street No:12,Çanakkale Türkiye |
営業時間 | 8:30-17:30 ※チケット販売は17:00まで。 |
料金 | 100TL/遺跡・博物館別料金 ※150TLで共通券購入可能、有効期限72時間 |
ミュージアムカード | 可 |
動画 | |
その他情報 | ・資料によっては、博物館の住所が古い住所となっている場合があるため注意。 |
公式サイト | https://www.kulturportali.gov.tr/turkiye/canakkale/gezilecekyer/troia-oren-yeri |
アクセス | イズミルからIZBAN(電車)でチャナッカレへ。チャナッカレ市内から、テヴフキイェ村(Tevfikiye Köyü)行きのミニバス乗車。一時間に一本程度。乗り場:バスターミナルまたはホテルにて現地確認要) [トロイ遺跡地図] [トロイ博物館地図] |
特典・クーポン | ー |
ギャラリー
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