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旋舞セマーと偉大なイスラム神秘家の霊廟!メヴラーナ博物館

公開日 2022年11月11日 最終更新日 2023年10月12日

概要
セリミエ・モスクとメヴラーナ博物館/コンヤ

ルーム・セルジューク朝の首都であったコンヤ観光のハイライトは、ここメヴラーナ博物館です。1273年にメヴラーナが亡くなってから19世紀までの間、約600年かけて建てられました。現在は、メヴラーナとその家族が眠る霊廟、および、メヴラーナの遺品などの所蔵・展示メヴレビー教団の修行の様子や旋舞(セマー)を見学できる博物館として利用されています。

修行を再現する蝋人形/メヴラーナ博物館・コンヤ

13世紀ごろ、現トルコのコンヤ市で活躍したイスラム神秘家メヴラーナ・ジャラールッディーン・ルーミーは、旋回して宇宙を体感する旋舞セマーを修行とする、イスラム神秘主義のメヴレビー教団を設立したことでも知られています。

貴重な日本語訳のルーミー語録本

彼の残した『メスネヴィー(The Mesnevi)』をはじめとする著書は、欧米では多数翻訳されて出版されていますが、日本ではほとんど発売されておらず、あまり知っている人は少ないようです。欧米では神秘家であり偉大なるマスターとして崇拝されている人物です。

メヴラーナ博物館/コンヤ

博物館は、建築家・べドレッティン・タブリズィ(Bedrettin Tabrizi)によって建築が始められ、完成したのは19世紀です。実に600年の歳月をかけて建設されることになりました。緑のドームと称されるメヴラーナの霊廟鮮やかなターコイズの塔、モスクがあります。

セルジューク朝皇帝によるメスネヴィーのコピー/メヴラーナ博物館・コンヤ

ルーム・セルジューク朝時代のコーラン、ルーミー著メスネヴィーの最古となるコピーなどが展示されています。また、「あなたが無神論者でも偶像崇拝者でも、拝火教信者(ゾロアスター教など)でも、私のところに来なさい」との一文が記されたプレートは、有名な見どころの一つです。

メヴラーナの霊廟/コンヤ

博物館をまわるとき、2つの建物を順に見学します。旋舞セマーと霊廟の次は、蝋人形を使った展示です。他にも、ムハンマドのあごひげを入れた箱なども展示されています。この他、博物館には、噴水やセリミエ・モスクが併設されています。

ルーミーについて
かわいらしいメヴラーナ(ルーミー)のおきもの

ルーミーは、現在のアフガニスタン北部で、由緒正しい家柄に生まれました。父もまたイスラム教の神秘家で、”学者の王””霊知の王”と称され、イスラム各国で敬愛されるホジャ(師匠)たる人物でした。 父の教えを受け育ったルーミーは、幼い頃から、宗教学のみならず、諸学を修める才覚を発揮していました。若くして”賢者””マスター”をさす「メヴラーナ」と呼ばれて崇敬されていたのです。

薔薇とメヴラーナ博物館/コンヤ

メヴラーナの父は、ルーム・セルジューク朝の皇帝からコンヤへ何度も招へいされるも断り続けていました。ついに断りきれず現在のトルコ・コンヤにメヴラーナとともに移住することになります。皇帝から、宮殿の敷地にあったバラ園を譲り受け、そこを住まいとしますバラ園には神学校が設立され、メヴラーナ父とメヴラーナは教鞭をとっていました。

メヴラーナの霊廟/コンヤ

メヴラーナは日常生活において、数日から一週間ほどの断食を日常とし、体の浄化を心がけ、一定期間引きこもって瞑想をしては外に出て真実を確認するという行動を習慣化していたとされます。彼の人生は、民衆から救いを求められ続けるものでしたが、ある時、無二の友との出会いがありました。それまで修行にも民衆への教鞭にも積極的だったルーミーですが、友との出会いがそれらを中断させてしまったため、民衆の不満が噴出し、友は去ってしまうという事件もありました。ルーミーは無二の友のために捧げる書物を書き遺したほど、ともに高めあえる仲だったようです。

セリミエ・モスクとメヴラーナ博物館/コンヤ

メヴラーナ父が亡くなったとき、民衆がメヴラーナ父のために霊廟の建設の許可をメヴラーナに求めましたが、「父の上を覆うものは青い空が一番良い」という理由からメヴラーナは建設されませんでした。ところが、1273年12月17日にメヴラーナが66歳で亡くなったさい、ルーム・セルジューク朝の皇帝と残された家族が許可したことから、この地にメヴラーナの霊廟が建てられることになり、現在に至ります。

ルーミーの詩
メヴラーナ・パビルス/メヴラーナ博物館・コンヤ

メヴラーナの書き遺した詩は、『神秘と詩の思想家メヴラーナ―トルコ・イスラームの心と愛』などの本で読むことができます。

落ち着いて心の内をみつめてごらん
君がしなくてはならないこと それは、愛を探すことではない
愛に対して抱いてしまった抵抗を見つけることだ
君は翼を持って生まれてきたのに
なぜ這いつくばってばかりいるのか
大地は天におとなしく従いなされるがままに苦しんでいる
教えてくれないか
地球はそんなに言いなりになるほどだめな星なのか?

Vaststillnessさん訳~

旋舞(セマー)
旋舞セマー

旋舞(Sema/セマー)は、詩と歌と舞が一つとなった、メヴレヴィー教団の重要な修行であり、宗教儀式でした。スカートをはいた男性が、クルクルと回り続ける様子には驚かされます。この旋舞はあくまで宗教儀式のため、ショーではないとの理由から拍手は禁止されており、厳粛な気持ちで見学させていただくものです。セマーは、ユネスコ無形文化遺産に登録されています。

旋舞セマー

舞手(Semazen/セマーゼン)の帽子は墓石、ジャケットはお墓、スカートはお葬式用カバーを意味していて、儀式の最初でジャケットを脱ぐのは、死の束縛からの脱出という意味があるそうです。生命は螺旋状であり、宇宙と一体であり、我々は肉体ではなく精神である、という教えは、真言密教をはじめとした、世界中の神秘家たちの教えと同じものです。

セマー

旋舞の際、右手は上にあげて天をさし、左手は下にさげて地をさします。右手で天から光を受け取り、左手でこの世界へと広げる役目があり、これらは樹木などにみられる生命活動そのものであると氣づかされます。

基本情報
住所Mevlana Müzesi:Aziziye Mahallesi Müze Alanı Caddesi No:1,Konya,Turkiye
営業時間09:00-17:00
※チケット販売は16:40まで。
料金無料
ミュージアムカード
その他情報
公式サイトhttps://www.kulturportali.gov.tr/turkiye/konya/gezilecekyer/mevlna-muzesi
アクセスコンヤトラムのメヴラーナ(Mevlana)またはバス停メヴラーナ下車、すぐ。
[地図]
特典・クーポン
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※この記事は、登録日(最終更新日)時点の取材情報を元に作成しております。実際に訪れていただいた際、スポット(お店)の都合や事情により記載してある記事の内容と差異があることがあります。どうぞご了承くださいませ。

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