トルコ絨毯の作り方とは?チナール絨毯(Çınar Halı)のトルコ絨毯ができるまで
公開日 2019年1月1日 最終更新日 2023年9月15日
概要
ツアーで訪れることが多い、トルコ絨毯の工房。数多くのメーカー品を取り扱う絨毯専門店ではなく、工房を訪れることは、トルコの文化伝統を知る上で、とても有意義なものです。トルコには、昔ながらの手織り絨毯の手法を守り続ける工房が多く残っていて、絨毯製作に携わって生計をたてる人が本当に多い。
それだけ、トルコ国内・中東・西洋各国でのニーズが高く、トルコ経済にとって不可欠なもののようです。本物の絨毯の上を歩いた時の、足元からくるあのリラックス効果は、自宅でやすらぎを得るために、欠かせないものにもなります。
トルコ絨毯の製造過程を、チナール絨毯の場合どうしているのか?まとめてみました。
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《トルコ絨毯工房チナール絨毯》
《トルコ絨毯とペルシャ絨毯何が違う?》
0.前準備
専門の職人によるデザイン画
手慣れた手つきで、とても簡単に描いているように見えるのですが、これも職人技。描く一つ一つに込められた意味があります。絨毯を購入した際、どのような意味があるのかを、説明してくれます。
織り機一つ一つに、縦糸を通す
織り機に縦糸をつけていきます。これもまた重労働で大変な仕事。この後、織り手さんが横糸を通していくための、大切な作業です。
1.糸を紡ぎ、色を入れる
蚕をお湯でボイルし、専用のコームでほぐしながら、糸を紡ぎます。25gの繭から、1200mの繊維がとれますが、品質がまばらになることから、絨毯用には、一番良い繊維のみ、500~600mほどのみ利用します。贅沢なものですね。
紡がれた糸に色を入れます。入れた色ごとに、色見本を作っていき、それを見ながら織り手さんが紡いでいきます。
2.織り手さんが編み込む
2本の縦糸に、八の字で横糸を通していく、「ダブルノット」という製法で編み込んでいきます。こうすることで、やわらかく仕上がり、踏んでもペットが噛んでも穴があきにくい、耐久性のある丈夫な絨毯になります。
織り機の上にあるデザインを見ながら、糸を選んで編み込み、横一列が終わったら、締め糸を一本入れてほどけなくし、専用の鉄の道具で、上からドンドンと叩いて詰め込みます。一定の力で叩かないと、絨毯の模様がズレてしまい、綺麗な絨毯に仕上がりません。ただのストレス解消とはいかないようで、気の抜けない作業が続きます。
はみ出た横糸の毛足は、絨毯専用の鉄ハサミで切られます。切り取られた糸は、捨てずにクッションや枕に再利用されます。
シルクの絨毯は、1cmにつき、少なくとも50回以上、多いものだと500回ほどは結んでいます。回数が多いものほど、芸術性が高い絨毯となり、額縁に入れて飾ったりします。「家庭用の絨毯」の域を超えて、芸術作品とされる理由は、こういった織り手さんの努力によって生み出されていきます。
綿は年間を通じて18度、シルクは年間を通じて14度の温度をキープするとされているので、夏でも触り心地は少しひんやりしていて、肌触りが良いものです。
3.絨毯裏面の余分な糸のカット・洗浄
織り手さんが織りあげた後、余分な繊維を取って、洗浄し、耐久性を付けて出荷します。とても大胆に水と火を使って処理することに、驚くばかりです。こうしてチナール絨毯のショールームへと向かいます。
チナール絨毯のショールームは、イスタンブールとカッパドキアにあります。
チナール絨毯の作り方を日本語解説で
1.【日本語解説付き】チナール絨毯工房の絨毯ができるまで。
ツアーでは、繭で糸を紡ぎ、織り手さんが横糸を通していく工程を見学した後、じょう舌すぎるトルコ人の「空飛ぶ絨毯」説明を聞きます。この動画は、見えなかった裏の方まで見ることができます。こんなにもたくさんの人が関わっていて、この手間がかかる工程を見たら、きっとトルコ絨毯の安さに驚くはず。
2.ツアーで御馴染み!アハメットさんの解説
※日本語で絨毯を説明させたら、トルコで右に出る者はいないであろう、アハメットさん。トルコのお土産屋さんで定番の「棒読み日本語」ではない丁寧な日本語解説をお聞きいただけます。
織り手さんは、少しも「お金のため」「商売のため」ではなく、「使ってもらえたら嬉しいと思って作ってるの」とおっしゃいます。芸術家と称するべき織り手さんは、今日もお客様のため、絨毯を織り続けています。