シロップ系サクッとパイ!トルコのバクラヴァとカダイフ
公開日 2021年8月7日 最終更新日 2023年9月3日
概要
エキゾチックな中東や北アフリカ界隈を旅することが好きな人なら、イスラム教の国々では、いかに甘い物が愛されているか、をよくご存知かと思います。「甘い物は甘く、辛いものは辛く」という国々ですから、日本のように”糖分控えめ”という言葉は似合いません。たっぷりのシロップにじんわり浸されたパイ生地を食べたときの、食感とともに口の中に訪れる、バターとナッツの香しさ、じゅわっと広がるあの甘さは、クセになる美味しさです。とても甘いのに、また食べたくなる魔性のお菓子の代表格が”バクラヴァ(バクラバ)/Baklava”や”カダイフ(カダユフ)/Kadayıf”です。トルコ料理のあとに、バクラヴァをいただくと、口の中がさっぱりするので不思議なものです。どちらも、年に一度必ずある断食月(トルコ語:ラマザン/Ramazan)には欠かせないお菓子の一つになっています。
バクラヴァ
バクラヴァとは、ユフカとよばれる薄い生地を何層にも重ねて、ピスタチオやチョコなどを生地の間にはさみ入れて焼き上げ、たっぷりのシロップに浸したものです。バクラヴァには、トルコ名産のピスタチオやナッツ類が絶対に欠かせません。ピスタチオの名産地であるガズィアンテプのバクラヴァが高品質とされています。
カダユフ/Kadayıf
バクラヴァとともに店頭に並ぶスイーツとして、カダイフ(カダユフ)があります。カダイフは生地が細麺状になっているもので、同じくガズィアンテプ名物となるスイーツの一つです。こちらも、ナッツ、クリームなどをはさんで揚げ、シロップに浸したものです。アイスを添えて食べられることが多く、独特の食感がたまりません。
バクラヴァの起源についての論争
バクラヴァの起源については昔から論争の的のようです。ギリシャ人は、「古代ギリシャで生まれたペストリー”コープトピラーコス(Koptoplakous)”が起源であり、オスマン帝国でそれがアレンジされた」と主張。一方で、トルコ及び中東各国では、「遊牧民が薄いパンを食べていたことにルーツがあるため、中央アジアが起源」と主張しています。いずれにしても、現在中東アフリカ一帯で食べられているバクラヴァとよばれるスイーツは、”オスマン帝国時代にイェニチェリ(軍隊)や貴人たちが喜び食べた”とされ、当時の祝賀祭典には欠かせないもので、現在もあらゆる場面で欠かせないお菓子になっていることは確かです。
バクラヴァとカダユフのバリエーション
何層にも重ねた生地をシロップに浸したものは、すべて”バクラヴァ”とよばれます。材料や形をかえれば、かなりの数のバリエーションにつながります。最近では伝統的なものに加えて、新種のバクラヴァが登場しています。冷たいバクラヴァ、アントシアニン入りの紫のバクラヴァ、白チーズのバクラヴァ、クリーミィなバクラヴァ、チョコバクラヴァなど、種類は増える一方です。
カダユフを使ったスイーツとしては、キュネフェ、カダユフ・ドルマス、カイマクル・エキメキ・カダユフ、ムハッレビ・カダユフなどがあります。
バクラヴァ専門店”バクラヴァジュ”
バクラヴァは、8層以上のユフカ(薄い生地)を重ねて、シロップをぬりピスタチオやウォールナッツなどをはさみ入れ、焼いて、シロップに浸します。これだけ手間暇かかる極上のバクラヴァには、それなりの対価が必要ですが、近年、格安のバクラヴァが巷に出回っていて、メーカーが使っている油や砂糖が低品質でケミカルであると、地元紙に報じられました。バクラヴァとデザート店協会(BAKTAD)に加盟している店舗かどうかをご確認されてから購入すると安心かもしれません。
それならば、せっかくのトルコ旅行、上質で有名なバクラヴァを食べておきたいですね。バクラヴァ専門店”バクラヴァジュ/Baklavacıは、ほとんどの街に存在します。イスタンブールなら、カラキョイ地区にある、カラキョイ・ギュッリュオール/karaköy güllüoğlu、キョシケロール/Köşkeroğlu、ハフィズ・ムスタファ/Hafiz Mustafaあたりが老舗の有名店。バクラヴァやカダユフのデザートはどこにでもあるスイーツですが、味はやっぱり差があるかな、と思いますので、スイーツが食べたくなったら、わざわざでも出向いて、食べるべき一品です。
あの味を日本でも
日本でもバクラヴァは購入できます。2022年11月に、ご紹介したカラキョイ・ギュッリュオールの創業者一族の一人であるナーディル・ギュッル氏のブランドとして、”ナーディル・ギュル・ジャパン”が、東京の松屋銀座地下1Fにオープンしました。ナーディル氏は、バクラヴァの第一人者とも言える方で、知らない人はいないというほど有名人。実は日本には、このナーディル・ギュルが上陸する以前から、トルコ人またはトルコ語習得者たちに愛されているバクラヴァメーカーがありました。それが、ハセルフードです。職人さんが丁寧に一つ一つ作っているバクラヴァは美味しいものですので、こちらもおすすめです。
トルコ文化観光省の動画
バクラヴァギャラリー
カダユフギャラリー
※この記事は、登録日(最終更新日)時点の取材情報を元に作成しております。実際に訪れていただいた際、スポット(お店)の都合や事情により記載してある記事の内容と差異があることがあります。どうぞご了承くださいませ。