サンタクロースの古代都市ミラと聖ニコラウス教会
公開日 2022年12月20日 最終更新日 2024年3月1日
概要
フィンランド出身のイメージが強いサンタクロースですが、実は、現トルコ南部で生涯を過ごした聖人です。トルコ語でサンタクロースは「ノエル・ババ(Noel Baba)」とよばれますが、イスラム教の国ですから原則はクリスマスをお祝いしません(でもツリーは飾ったりする)。それでもノエル・ババこと聖ニコラウスは、トルコでも尊敬されている人物です。
司教として、罪のない人々を助け、恵まれない人々に多くを与え続けた聖人で、夜、子どもたちにプレゼントを届けていたという伝説があります。その聖ニコラウスが生まれ、司教として生きた都市ミラは、トルコ南部のアンタルヤ市にあり、3世紀以降、多くの巡礼者が訪れています。
ミラ遺跡
古代都市ミラは、デムレ川沿いに発展した都市で、古代初の民主政治を行う連合国リュキア連邦の主要都市の一つでした。最盛期は408~450年ごろとされます。女神アルテミスを信仰しており、リュキア連邦最大のアルテミス神殿があったとされますが、現在見られるのは、劇場と、その背後の岩肌に刻まれる保存状態の良い岩窟墓です。
ミラは、デムレ川の沖積土によって徐々に港町としての繁栄を失い、ついに809年ごろ、アラブ人の襲撃を受けてその歴史を完全に終えます。
見どころ
聖ニコラス記念博物館
サンタクロースこと聖ニコラウスは、3世紀ごろ、現トルコ南部海沿いの都市パタラに生まれ、リュキアの主要都市ミラで司教になります。ミラの司教は大変大きな権力を持っていましたが、その地位に奢ることはありませんでした。人々に見返りを求めずあらゆるものを与えては歓喜させ、さらに、多くの人々の命をも救ったとされます。
ミラの民は彼の死後、墓地に記念碑を建てて、偉大なる聖人の死を惜しみました。6世紀ごろ、ビザンチン帝国によって聖人と認められ、聖ニコラウス教会が建設されます。現在も残っている建築は、1042年ごろのものとされます。
こうして古代都市ミラは、キリスト教徒にとって重要な巡礼地の一つとなりました。聖ニコラウスの命日である12月6日は毎年祈りの日となっていて、宗教の枠をこえて多くの人が偉大な聖ニコラウスに祈りを捧げる聖なる日です。
1862年、ロシア皇帝アレクサンドル2世はこの教会を買い取って、地震・洪水や盗難被害で荒れた教会を修復しようと試みましたが、未完成のままに終わります。その後、ギリシャ・トルコの住民交換が行われたことで、しばらくの間教会は完全に放棄されたままでした。現在は、トルコ政府による修復が行われ、聖ニコラウス記念博物館として利用されています。
教会の埋葬された聖ニコラウスの遺体は、イタリア・バーリの商人によって持ち出され、現在もバーリにある聖ニコラウス教会にあるとされています。石棺に残された一部の遺骨のみ、アンタルヤ博物館が所蔵・展示していました。ところが近年、教会の地下に礼拝堂があることが発見され、聖ニコラウスの”本物の遺体”は、この地下室に眠っているという報道がなされ、世界中の話題となりました。トルコの報道によれば、地下にある遺体こそが、本物であるとされています。では、バーリの遺体は一体誰のものなのか…。興味深いところです。
劇場
ミラの遺跡で目をひくこの劇場は、2世紀頃のローマ時代に建てられたものです。ある裕福な人の寄付によって建てられたものとされ、わりと保存状態がよく残っていて、岩窟墓とともにミラ遺跡の見どころとなっています。
岩窟墓
リュキアの岩窟墓は、アンタルヤやムーラに多く見られます。岩を削って神殿のように造る墓には誰もが驚かされます。
基本情報
住所 | Myra Antik Kenti ve Aziz Nikolaos anit müzesi:Alakent Mahallesi Dağ Dibi Mevkii Demre,Antalya,Turkiye |
営業時間 | 夏季:8:30-19:30 冬季:8:00-17:00 ※チケット販売は30分前まで。 |
料金 | 90TL |
ミュージアムカード | 可 |
その他情報 | ー |
公式サイト | https://www.kulturportali.gov.tr/turkiye/antalya/gezilecekyer/myra |
アクセス | 拠点となる街はデムレ(Demre)。アンタルヤ市のバスターミナルからデムレ地区行きの市バス乗車。デムレからミラまでは車またはタクシー。 [ミラ遺跡地図][聖ニコラウス記念博物館地図] |
特典・クーポン | ー |
ギャラリー
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