ラマダン(断食)期間中のトルコ旅行ってどうなの?

公開日 2018年8月17日 最終更新日 2023年6月11日

概要

イスラム暦(ヒジュラ暦)第9月は、断食月(ラマダン=トルコ語:Ramazan/ラマザン)にあたり、イスラム教徒にとって大切で神聖な月になっているようです。イスラム暦(ヒジュラ暦)は、一年が354日であり、新月から始まるということもあって、断食月は毎年11日ずつずれ、さらに、地域によって時間もずれていきます。トルコのラマザン期間を知る最も簡単な方法はGoogle検索ですが、東京ジャーミィの公式サイトまたはトルコ宗教省で確認するのが一番確実です。

エミノニュとイエニ・モスクのライトアップ/イスタンブール

万が一、旅行期間とラマザンが重なってしまっても、旅行に支障はなく、問題ありません。もしかしたら、気が付かないままに帰国する方も多いかもしれません。年に一度、必ず訪れる断食月にトルコを訪れるなら、知っておいた方がよいことを、非ムスリム目線でまとめてみました。

ラマザンと断食
コーラン

この月において、ムスリムは日の出から日没にかけて、一切の飲食を断つことにより、空腹や自己犠牲を経験し、飢えた人や平等への共感を育むことを重視する。また共に苦しい体験を分かち合うことで、ムスリム同士の連帯感は強まり、多くの寄付や施しが行われる。
断食中は、飲食を断つだけではなく、喧嘩や悪口や闘争などの忌避されるべきことや、喫煙や性交渉などの欲も断つことにより、自身を清めてイスラム教の信仰心を強める。

Wikipediaより引用

食べ物・飲み物・嗜好品すべて口にしないことで、恵まれない人の苦痛をわかちあい、私利私欲を捨て神へ献身をする大切な習慣です。中東諸国ではラマダーンといい、テュルク語圏ではラマザンと言います。

スレイマニエ・モスク/イスタンブール

断食することを、トルコ語でOruç(オルチ)と言います。病気の人や高齢者、妊婦をのぞき、普段、飲酒喫煙を嗜む人も、スカーフをしない女性も断食だけはするようです。ツアーガイドも、真夏40℃をこえる炎天下でも、水一滴さえ口にしません。断食をすることで、心がとてもきれいになるとトルコ人たちはいい、何より毎日が楽しくて充実しているように見受けられます。一年を通じ、ラマザン月は心身ともに清められる素晴らしい期間となります。

ラマザンの夕食”イフタル”食卓例

断食はあくまで、太陽が昇っている間のみ。日本での、一般的な断食やファスティングとは、全然違う仕組みです。ラマザン期間には、TVや新聞などで断食を行うべき開始時刻と終了時刻が周知され、地域ごとに分刻みで断食が開始または終了します。その時刻までに必ず朝食(Safır/サフル)を食べ終え、夕食(İftar/イフタル)を食べ始めます

ラマザン期間中のトルコ旅行
エフェソス遺跡のクレテス通り/セルチュク・イズミル

ムスリムではない私たちが旅する場合は、ラマザン期間中であっても、何も問題なくいつも通りに、観光や食事を楽しむことができます。ラマザン中だからといって、施設やレストランが閉まってしまうことは原則ありません。また、私たちに断食を強制することもありません。現地ツアーガイドがイライラするということもなく、むしろいつもよりにこやかに思えるくらいです。

夕食は混み合うレストラン
アランヤのレストラン/アンタルヤ

ただし、夕食はどのレストランも遅くまで混み合うため、トルコ人たちは事前に予約を行っています。お目当てのレストランがあるなら、念のため予約をした方がいいかもしれません。各モスク前には、食事を提供するためのテントが設けられていて、無料で食事がふるまわれています。旅行者でももちろんOK。みんなで食事をいただけるありがたさを共有するためのものですから、チャレンジしてみるのもいいかもしれません。また、露天などが出たりして、お祭りのようです。

特別なライトアップ
ラマザンのブルーモスクのライトアップ/イスタンブール

一部のモスクなどでは、ラマザン期間中はライトアップを実施しています。”Hoş Geldin Onbir Sultan”とは、”11ヶ月のスルタンようこそ”の意味で、ラマザンに価値をおくトルコ人特有の表現です。こういった、この時期にしか撮れない景色をカメラにおさめるのもいいですね。ラマダン期間中だからといって、観光客に特別影響するようなことはなさそうです。

ラマザンよりも犠牲祭に注意
渋滞のメッカ・7月15日殉教者の橋/イスタンブール

断食が終了すると、砂糖祭(イード・アル=フィトル、トルコ語:Şeker Bayramı/シェケル・バイラム)が始まります。断食明けを祝い、キャンディなどの甘い物を、みんなでいただく風習があり、数日の連休となります。トルコを旅行するなら、注意したいのは、ラマザンや砂糖祭よりも、犠牲祭(イード・アル=アドハー、トルコ語:クルバンバイラム/Kurban Bayramı)です。約1週間〜10日ほどの大型連休となり、巡礼のほか、帰省や旅行に行く人々で各交通やホテルは大変混み合います。旅行期間と重なると、バスやホテルや飛行機などの予約がほとんどできなくなることや、レストランやショップなどが閉店していることが予想されます。どちらかといえば、ラマザン期間中よりも、犠牲祭(クルバン・バイラム/イード・アル=アドハー/タバスキ)外して旅することをおすすめします

みなさまのトルコ滞在が素晴らしいものとなりますように。

※この記事は、登録日(最終更新日)時点の取材情報を元に作成しております。実際に訪れていただいた際、スポット(お店)の都合や事情により記載してある記事の内容と差異があることがあります。どうぞご了承くださいませ。

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