意外とあった!トルコ発祥の料理と物

公開日 2021年11月15日 最終更新日 2023年6月12日

概要

トルコが発祥とされる食品や物は意外と多くあります。テュルク民族が生みだしたものもあれば、さまざまな文明を経たアナトリア半島で生まれたものもあります。それらをまとめてご紹介します。

※ご紹介するものの発祥については諸説あります。

トルコ生まれの食品
ヨーグルト
羊乳ヨーグルト/コユン・ヨーウルドゥ

日本ではブルガリアヨーグルトがあまりに有名なため、ヨーグルトの発祥はブルガリアだと思っている方が多いかもしれません。小アジア(アナトリア)から中東・ウクライナ辺りまでにかけての民族がたまたま、革袋の中でミルクが発酵して固まったものを食べたところ、とても美味だったことに気がついたことが起源とされていて、その民族こそ、中央アジアに広く分布するテュルク民族とされています。日本では、デザート感覚で食べられるヨーグルトですが、トルコでは、お料理にふんだんに使われる重要な食材です。

アイラン作り

トルコで飲まれるヨーグルトドリンク”アイラン”は、ケバブのお供として欠かせない存在です。ヨーグルト・水・塩で作った甘くないヨーグルトドリンクに、最初は違和感があるものの、慣れたらハマる人続出のようです。日本のヨーグルトドリンクが甘いことは、トルコ人にとって許容範囲を越えているようですが…。アイランは日本でも簡単に作れます。作り方は、日土協会の公式サイトをご参照ください。

ワイン
ウルラ・ワイン/イズミル

トルコは隠れたワインの名産地とされています。以前は、ワインの発祥はトルコとされていましたが、隣国ジョージアから、最古のワイン醸造に関連付けられる出土品があってからは、ジョージアにその地位を譲った形です。トルコ各地やメソポタミア周辺では、約1万年前程前の遺跡が見つかっていることから、出土品によっては、さらに発祥の地が変わっていくことが予想されます。葡萄はトルコ各地で栽培されており、特にカッパドキアワインは有名です。近年では、古種の葡萄を復活させたウルラのワインが評判になっています。

オリーブオイル
朝食や前菜にかかせないオリーブとオリーブオイル

オリーブオイルは、アナトリア半島南西部の地中海側が起源とされています。紀元前6世紀頃のオリーブオイル製造方法を、オリーブオイル博物館で見学することができます。トルコのオリーブオイルは、日本のスーパーなどで購入できる他国産オイルとは、風味と爽やかさも舌触りも全然違います。毎朝食に出てくるオリーブも本当に美味で、ついつい食べ過ぎてしまいます。

パン
トルコのベーカリーショップ

パンが初めて作られたのは、今から8000年前。トルコ東部のチグリス・ユーフラテス川地域に住んでいた人々が、麦を石で砕き粉状にしたものを石の上で焼いたものだったのだとか。バゲットのことを、日本では「フランスパン」とよぶことがありますが、バゲットを初めてあの形にしたのも実は、フランスではなくトルコなのだそうです。そのため、トルコで「フランスパン」は禁句です…。ラワシュやユフカと呼ばれる薄いクレープのような薄い無発酵パンは、トルコおよび隣接各国の無形文化遺産に登録されています。

トルコ生まれの料理
ピラフ
リゾーニ入りピラフ/ピリンチ・ピラウ

日本でも食べられているピラフも、実はトルコ生まれ。トルコのピラフはピラウといい、お米のピラフ(Pirinç pilavı:ピリンチ・ピラウ)と、セモリナ粉で作ったひきわり小麦のピラフ(Bulgur pilavı:ブルグル・ピラウ)があります。15世紀の文献には、スレイマン大帝の息子の割礼式のメニューとして記録されているものがあるそうで、当時は宮殿のみならず、庶民も口にする料理でした。

チキンピラフ/タヴクル・ピラウ

キョフテ(ハンバーグ)やケバブ、煮込み料理とともに出されることが多く、あくまでも主食ではなくて、つけあわせ的扱いです。ただし、タヴクル・ピラウ(チキンピラフ)のように、メインに躍り出ることもあり、こちらは露店の人気メニューの一つです。ピラウの名店といえば、トラブゾンに本店をおく”カルカノール・ピラウジュ”です。極上のピラウが食べられると人気で、支店がイスタンブールのカラキョイ(新市街)とカドゥキョイ(アジア側)にあります。

ピザ
カラデニズ・ピデ
ラフマージュン

イタリア料理として有名なピザはトルコのピデが起源というのは、かなり不確かな情報です。ピデは、少し厚めの生地にチーズ、卵、ひき肉、ほうれん草といった具材をトッピングしたものです。もっと薄い生地でつくるひき肉のピザ・ラフマージュンもあって、こちらはサラダを巻いていただきます。オスマン帝国時代、ピデは宮殿料理としても振る舞われていました。今でも、地域ごとにご自慢のピデがあり、特にグルメな黒海地域のピデは美味とされます。少しスパイシーなピデやラフマージュンは、トルコのファストフードでコーラやファンタによくあいます。

ロールキャベツ
ロールキャベツ/ラハナ・サルマス

子どもから大人まで大好きな家庭料理、ロールキャベツの発祥もトルコとされています。トルコ語で、ラハナ・サルマス/Lahana Sarmasıといい、日本と同じく母の味です。キャベツの種類も一種類だけではなく、特大サイズのものから、日本と同じくらいのサイズのものまであります。作り方はほぼ一緒で、スパイス入のお肉を、キャベツの葉で巻いて、トマトソースで煮込むものです。黒海地方では、黒キャベツやケールを使ったロールキャベツも作られていて、栄養満点な家庭の味です。

さくらんぼ(サワーチェリー)
ヴィシュネ(サワーチェリー)

トルコには、ヴィシュネとキラズの2種類のさくらんぼがあります。正確には、日本のさくらんぼはトルコ語でキラズとよばれるものです。もう一方のヴィシュネとはサワーチェリー(バラ科のスミミザクラの実)のことで、こちらがトルコ発祥とされます。ヴィシュネはそのままでは食べられないほどに酸っぱく、砂糖漬けなどで甘いデザートやジュースとしていただきます。スーパーでは、市販のパックジュースが売られていますので、お土産にもおすすめです。また、ターキッシュエアラインズの機内サービスでは、チェリージュースをチョイス可能です。気になる方はぜひお試しください。

ヘーゼルナッツ
ヘーゼルナッツの木になる実
ヘーゼルナッツ

世界三大ナッツの一つであるヘーゼルナッツの原産国がトルコであることは、よく知られています。世界で消費される6割ほどはトルコが生産し、世界No.1の輸出量を誇ります。ヘーゼルナッツは黒海地域の名産品で、特にサムスン市では、一面のヘーゼルナッツの森のような場所が多数あります。トルコや中東で食べられているバクラヴァをはじめとしたスイーツには、ピスタチオとともに、ヘーゼルナッツは欠かせない存在です。

トルコ生まれの花
ダマスクローズ
ダマスクローズ/ウスパルタ

ダマスクローズの原産地がトルコ、というのは噂どまり。ブルガリアから1888年にトルコに苗木がもちこまれました。トルコでは、ダマスクローズと、オイル生成用のバラの2種類が主流です。最も多く栽培されているのは、はトルコ南西部のウスパルタ。手摘みされたローズから伝統的な製法でエッセンシャルオイルを抽出している工程を見学できるほか、バラやラヴェンダーのコスメやジャムなどを購入できます。

チューリップ
トルコの公園に咲くチューリップ

「チューリップはオランダ生まれ」と思っている方は多いかもしれません。実はチューリップはトルコ生まれで、トルコの国花でもあります。セルジューク・トルコがアナトリアに持ちこんだチューリップは、オスマン帝国時代にヨーロッパへと広まっていき、特にオランダ地方で重宝されました。今は丸い曲線を描いているチューリップの花弁ですが、原型は先が尖っていたとされ、復活させる活動が行われているそうです。トルコが誇るチューリップの花模様は、絨毯やキリム、タイルなどあらゆる場所に活用されてきました。特に、ミマール・シナンが建てたモスクを彩るイズニックタイルには欠かせない絵柄でした。現代でも、アヴァノス陶器や各種土産物などに幅広くチューリップが描かれ、トルコを象徴するものの一つです。

トルコ発祥の文化
カフェ
伝統的スタイルのカフェ

コーヒーが北アフリカや中東からオスマン帝国にもたらされたのは、1554年ごろとされています。2人のシリア人が、イスタンブールでコーヒーを振舞ったことを機にカフェ文化が根付いたという説と、イエメンに赴任していた高官がスルタンへ献上して気に入られたから、という2つの説があるようです。いずれにせよ、コーヒーを提供する場所=カフェ、ができたのはイスタンブールが初。フィルターをとおさずに提供されるコーヒーは、トルコ・コーヒーとして現在も広く供されています。

貨幣

ギリシャ人の歴史家ヘロドトスは、著書の中で、リュディア人が世界で初めて金銀を使った貨幣を用いたと記しています。紀元前6世紀頃にリュディア王国で使われていたとされる貨幣と、エフェソス遺跡から見つかった硬貨倉庫は現在、イギリスの大英博物館が所蔵・展示しています。リュディア王国はヒッタイト帝国が滅んだ後、アナトリア半島を広く支配し、繁栄を極めていた国ですが、その多くはまだ謎に包まれています。

タオル
ターキッシュ・タオル

日本ではあまり馴染みのないターキッシュ・タオルですが、実はトルコは、世界中で愛用される品質のよいタオルを生産しています。一説によれば、タオルの使用はハマムから始まったとされています。タオルの綿はアナトリアの大地でよく育ち、世界有数の綿の生産国でもあります。トルコ各都市のブランド名がついたタオルがあり、特に、デニズリ市のタオルは品質が良いことで有名です。お土産におすすめです。

シンバルとマーチングバンド
メフテル軍楽隊
シンバル

日本でも一時期CMに採用されていたトルコ軍歌『ジェッディン デデン(Ceddin Deden)』は、一度聴くと頭の中でリピートしてしまう音楽です。オスマン帝国軍に随行した世界初の音楽隊”メフテル(軍楽隊)”がマーチングバンドの起源とされます。当時、世界最強とされていたイエニチェリ(オスマン帝国軍)は、音楽を轟かせ相手を威圧していました。そのイエニチェリが使っていた楽器の一つが、シンバルです。シンバルは軍楽隊が初めて使ったもので、今でも手作りのシンバルは、トルコのものが最高とされ、世界中の音楽家が愛用しています。

サンタクロース
デムレにある聖ニコラウス像
ミラ遺跡の聖ニコラウス記念博物館

サンタクロースは、ギリシャ正教会の聖ニコラウスがモデルになっています。聖ニコラウスが住んでいたミラは、リュキア連邦の中でも特に力があった都市国家で、現トルコ南部アンタルヤ市デメル区郊外にあります。デメルにある聖ニコラウス教会は一般公開されていて、多くの巡礼者が訪れています。聖ニコラウスの遺体は、船乗りたちによりイタリアのバーリへ運ばれ、聖ニコラウス教会に祀られている…とされていますが、近年、聖ニコラウス教会の地下で発見された墓所こそが本物である、と話題になりました。

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