犠牲祭期間中のトルコ旅行 | 気をつけたいことまとめ

公開日 2021年8月13日 最終更新日 2023年8月3日

概要
イサクの燔祭

犠牲祭(トルコ語:クルバンバイラム/Kurban Bayramı、(他国:イード・アル=アドハー/タバスキ)は、イスラム教で大切な祝日となります。モーセが息子イサクを神に生贄として差し出した日(イサクの燔祭)を祝う日であり、神への信仰心をあらわす日なのだそうです。イード・アル=アドハーやタバスキ等、国によって呼び名はいろいろですが、テュルク語圏ではクルバンバイラムとよばれています。3日~5日ほどの大型連休となるため、メッカ巡礼をする人々、旅行に行く人、帰省をする人など、過ごし方は様々。

ハッジ
巡礼者のテント

犠牲祭の期間は、イスラム暦(ヒジュラ暦)の第12番目にあたる月になり、毎年11日ずつ前にずれます。「hajj 2023」や、「kurban bayramı 2023」でGoogle検索するか、または、東京ジャーミィへ確認すると期間の確認ができます。

犠牲祭期間中の旅
ローズバレーとツアーバス/ネヴシェヒル

犠牲祭でも観光施設への影響はなく、通常どおり旅行ができます。イスラム教徒にとって大切な祝日であるクルバンバイラムではありますが、トルコは観光立国の一つであり、何よりもてなしの心に溢れ、勤勉でもあるため、すべての施設のシャッターを下ろすということはないようです。ただし、一部のお店やレストランなどが早仕舞いしたりお休みになっている可能性があります。また、犠牲祭の始まりと終わりは交通渋滞もひどく、バスや飛行機といった移動手段も満席になるため、早めに予約確保をすることをおすすめします。

タクシム広場/イスタンブール

また、残念なことに「神への信仰をあらわす大切な祝日に聖戦を」との理由から、テロが起きる確率が増えることも事実です。毎年外務省から、犠牲祭のようなイスラム教の宗教行事に関わる祝日期間中の渡航について注意喚起が出ます。注意するとはいえ、こればかりは気を付けようがないものです。特に、イスタンブールのイスティクラル通りや、ベジクタシュなどの人が集まりやすい場所では、過去にテロ事件が起こり、度々ニュースを賑わせます。犠牲祭の期間中にトルコを旅する際には、必ずたびレジに登録し、外務省の海外安全ホームページをご参照ください。

犠牲祭を簡単にまとめ
メッカへ巡礼
メッカの聖モスク/サウジアラビア

「一生に一度は行くべき」とされるメッカ巡礼(ハッジ)に行く白い衣装をまとった人々で、トルコ各地の空港は大賑わいとなります。顔は誇らしげで、神への愛と奉仕の心にあふれる様子は、見ている方も癒やされます。彼らが誇らしげなのには理由があります。

すべてのムスリム(イスラーム教徒)にとって、少なくとも人生のうちに1回は、メッカ巡礼が義務付けられている。ただし、すべてのムスリムに課せられる他の四行(信仰告白(シャハーダ)、礼拝(サラート)、喜捨(ザカート)、断食(サウム))と異なり、巡礼は実行できる体力や財力のある者のみが行えば良いものとされている。巡礼期間中にハッジを済ませたものはハーッジュ حاجّ ḥājj(女性形はハーッジャ حاجّة ḥājja)、あるいはハーッジー حاجّي ḥājjī という尊称を得て、ムスリムの社会で尊敬を受ける。

Wikipediaより引用

※メッカ巡礼については、こちらのNHKのWEBサイトがとても分かりやすいです。

メッカのカアバ神殿/サウジアラビア

巡礼には希望者全員が参加できるわけではなく、グループ単位で巡礼希望を申請し、巡礼裁判所が平等に割当をしているそうです。割当が決定した人々は、男女ともに白い衣装に身を包みメッカへと旅立ちます。メッカのあるサウジアラビア側との契約人数は、2017年は8万人だったとされます。ハッジのため、市町村や同級生などの単位で、お金を出し合い貯蓄していることが多いようです。ハッジ費用は、毎年宗教大臣から発表され、各旅行会社はその金額に準拠した料金でパッケージを提供すします。2019年の金額は、2人部屋パッケージで20840リヤル(日本円で約60万円)。巡礼料、交通費、宿泊費、サウジアラビアに支払われるサービス料、食料や資料、ハッジ・ウムラ省が決定した巡礼テント費用が含まれていました。江戸時代に行われていた熊野やお伊勢詣でのようなものでしょうか。

生贄を屠る
犠牲祭の準備/マーケットでは次々と取引されていく

割当に外れた人々や、メッカ巡礼へ向かわない人々は、この長い休みを利用して帰省したり、ヴァカンスへと旅立ちます。トルコ国内では、モーセに倣い、羊や牛や山羊などの動物を屠り神に捧げます。神に捧げられる動物の種類によって、何歳までという決まりがあるのだとか。さばかれたお肉は、貧しい人や近所の人々に配られます。毎年この時期になると、庭先や道路で動物たちを処理しているのを目撃することになります。血まみれになっていたり、独特の匂いが漂ったりと、日本人にはなかなか衝撃的な日になりますが、さばきたてのお肉は新鮮でおいしいものです。動物たちが逃げ回るような動画もまた、クルバンならではの定番おもしろニュースです。

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