トルコのユネスコ世界遺産 | クサントス・レトーン遺跡

公開日 2019年8月7日 最終更新日 2023年6月11日

概要
テケ半島

現トルコ南部のアンタルヤムーラがあるテケ半島には、古代、複数の独立国家が同盟を結び、一国家を形成していたリュキア連邦がありました。リュキア語を話すリュキア人による国家最大の都市であったクサントスと、宗教都市であったレトーンの2都市は、1988年にユネスコ世界遺産リストに登録されました。この2都市はリュキアの最大の都市とされ、ヒッタイト帝国の文献などではアリンナという名前で登場します。

リュキアについて
リュキア古道とモンタナ・セイール・テペシ/フェティエ・ムーラ

リュキアが文献に登場するのは、紀元前2世紀~1世紀頃。ヒッタイト帝国の領土だったものの、ヒッタイト帝国の生き残りとして独立国家となります。その後、アケメネス朝ペルシアに支配された後、ローマ帝国の属州に組み込まれていきます。リュキアには23もの都市国家があり、リュキア連邦として民主主義政治を行っていました。

リュディア王国南部の小国がリュキア/Wikipedia

リュキア人の民族性について、ある戦における逸話が残されています。アリンナの北の平原で、アケメネス朝ペルシアと戦ったものの、アリンナまで撤退したリキュアの戦士たちは、妻子を自らの手で殺して都市に火を放ち、自らも火に飛び込みました。日本の古きよき武士の生き様のようですが、誇り高き戦士のリュキアの人々は、最強の戦士軍団と呼び声高いヒッタイト帝国の生き残りとされるのも納得です。生き残った人々は、度重なる戦いや地震にも負けず、町を再建し続けたそうです。ビザンチン帝国の支配下になって以降、連邦としてうまく機能しなくなり、徐々に衰退していきました。

クサントス遺跡/アンタルヤ

エーゲ海・地中海沿いにあるムーラとアンタルヤ周辺には、リュキアが残した古代都市遺跡や岩窟墓が多数残されています。ヴァカンスでは、クルーズでビーチや島とともにリュキアの古代遺跡をめぐるのが定番のプランで、これらは”ブルークルージング”とよばれます。クサントス・レトーン、ともにアクセスが少し不便ですが、夏はフェティエなどのリゾート地から日帰りツアーが催行されることもあります。

リュキア最大の都市・クサントス遺跡
クサントス遺跡/アンタルヤ

クサントスは、リュキアで最大の都市でした。クサントスという名前はギリシャ語ですが、ヒッタイト帝国時代はアリンナと呼ばれる町でした。アリンナは、ヒッタイト帝国にとって重要な町の一つで、漫画『天は赤い河のほとり』でも、アリンナ奪還のストーリーで登場し、ファンにはたまらない場所です。

クサントス遺跡
クサントス遺跡の石碑

古代リュキア人が話していたリュキア語は、インド・ヨーロッパ言語に属しますが、解明できていない古代言語の一つでした。そのリュキア語を解明するのに重要な碑文が発見され、遺跡の見どころの一つとなっています。この石碑以外にもハーピー記念碑(the Monument of Harpy)、パヤバの墓(the Tomb of Payava)、ネレイド記念碑(the Xanthos Nereid Monument)などがあり、この一部は、19世紀に入ってからイギリスに持ち出されて復元され、大英博物館が所蔵しています。

リュキアの宗教都市・レトーン遺跡

古代都市リュキアと、その後に誕生したリュキア連邦において聖地とされていたのが、レトーンです。紀元前3~4世紀頃に刻まれた碑文が一番の見どころで、リキア語・ギリシャ語・アラム語の3か国語で書かれています。

レトーン遺跡/ムーラ

ギリシャの女神レトと2人の息子に捧げられた3つの神殿、噴水、教会が主な見どころとなっています。最も注目すべきは、レトーンにある3つの神殿:レト・アルテミス・アポロのための神殿です。そのうち、アルテミス神殿の一部は、時代とともに水位が上昇した川に沈んでしまったため、その姿をはっきりと見ることができません。

レトーン遺跡のレトの神殿とアポロ神殿/ムーラ

レトはゼウスの子・アルテミスとアポロを授かるものの、ゼウスの妻である女神・ヘラの怒りをかい、リュキアに逃れてきたとギリシャ神話に記載されています。リュキアの人々は逃亡したレトを受け入れなかったため、怒ったレトはリュキアの人々をカエルに変えてしまったという伝説が残されています。

レトーン遺跡にあるアポロ神殿のモザイク/ムーラ

レトーン遺跡から見つかった多くの発掘物は、イギリスに持ち出され、大英博物館が所蔵しています。トルコ人にとっては「国外に持ち出された」ものですが、インド・ヨーロッパ語にリュキア語が属することが判明したのは、持ち出され研究されたおかげでもあります。残された碑文の多くは、フェティエ博物館が所蔵・展示しています。

基本情報
住所Xantos Antik Kenti:Kınık Mahallesi,Kaş,Antalya,Turkiye
Letoon Antik Kenti:Arifler Mahallesi, Fethiye,Kaş Turkiye
営業時間8:30-19:00
※レトーン遺跡:8:30-19:30。
※チケット販売は19:00まで。
※冬季は17:30まで。
料金25TL
ミュージアムカード
その他情報
公式サイトクサントス:https://www.kulturportali.gov.tr/turkiye/antalya/gezilecekyer/xanthos
レトーン:https://mugla.ktb.gov.tr/TR-159710/letoon-antik-kenti.html
アクセス最寄りはムーラ市のフェティエ区カシュ地区。フェティエの旅行会社で日帰りツアーに申込可能。
[クサントス地図]
[レトーン地図]
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