イースタン・エクスプレス | トルコ鉄道旅

公開日 2021年11月8日 最終更新日 2023年5月31日

概要

鉄道路線網の整備が出遅れていたトルコは、バス大国です。随分昔は、遅延する上、安い運賃で乗れる鉄道は、「鉄道は羊飼いのためのもの」などと揶揄されていたこともありました。ですが近年は、急速な都市化に伴って、鉄道路線も大都市圏を中心に整備され、車両も近代化。バスやフェリーでの通勤から、電車通勤へと様変わりしています。さらに、都市間を結ぶ高速鉄道(YHT)の計画が発表され、イスタンブール〜アンカラ〜コンヤの都市間は、短時間でアクセスが可能となりました。

イースタン・エクスプレス

そんな近代化の波に飲まれずに、まだまだ需要が多い特急列車や寝台列車は、アンカラをターミナルとして、南へ東へと複数の路線があります。どの路線も老若男女問わず大変な人気で、予約は困難な路線が多いのが現状です。特に、イースタン・エクスプレスは、2019年から、「ノスタルジック!」と、国内外で急激に人気が出始め、今や、発売直後でも予約が困難な状況までになりました。イースタン・エキスプレスと、トルコの特急列車・寝台列車について、まとめてみました。

まずは、TCDD(トルコ国鉄)のプロモーションビデオをご覧ください。

イースタン・エクスプレスとは
イースタン・エクスプレス

イースタン・エクスプレスは、トルコ語でドーウ・エクスプレシ(Doğu Ekspresi)いい、首都アンカラから東端の都市カルスまでを走ります。この列車が走る路線は、もともとは、オリエント急行が走ったアジアとヨーロッパを結ぶ路線です。現代では、オリエント急行は、たまにイスタンブールとパリの間を走る特別列車となりました。

オリエント・エクスプレス

イースタン・エクスプレスをはじめとしたトルコの特急列車や寝台列車は、ディーゼル機関車が客車を牽引します。路線により異なりますが、一番長いもので10両編成ほどで構成され、普通座席車/寝台車/クシェット車/普通座席車/食堂車が連結しています。後ほど詳しく記載しますが、季節限定で走るツーリスト・イースタン・エクスプレスは、寝台車と食堂車が、イースタン・エクスプレスは、普通座席車とクシェット車と食堂車が連結されています。

イースタン・エクスプレスの車内

寝台車がある列車には、食堂車がついています。スープからメイン、デザートまで、一通りのトルコ料理を楽しめます。クレジットカードはほぼ使えないので、現金を多めに持参しましょう。車両内には、コンセント、洗面台とトイレがあります。携帯電気ケトル、カップラーメン、お菓子、サンドイッチなどの軽食があると便利です。通過する駅近くのケバブ屋さんに電話注文して、5分停車の間に買いに行く地元の方もいらっしゃるようですが、旅行者にはハードルが高いですね。さらに寝台車では、この特別な夜のため、個室を飾り付ける方も多いようです。それぞれに工夫をこらして、列車旅を楽しんでいる様子は、こちらをもほっこりさせます。

2つのイースタン・エクスプレス
エルズルムを走るイースタン・エクスプレス

イースタン・エクスプレスは毎日運行されていて、12月〜3月までの冬季のみツーリスト・イースタン・エクスプレス(トゥリスティキ・ドーウ・エクスプレシ/Turisitik Doğu Ekspresi)も運行されます。ツーリスト・イースタン・エキスプレエスは観光客向けの設定です。停車時間が長く、停車時間に観光が可能です。こちらが人気すぎて、発売日でも予約が全くとれない状況になっています。一方のイースタン・エクスプレスの所要時間は、驚きの一日以上となる25時間ですが、こちらも大変な人気で、クシェット車は早めに売り切れてしまいます。ツーリスト・イースタン・エクスプレスの所要時間は、8時間ほど多めにかかります

ツーリスト・イースタン・エクスプレス詳細
路線図
イースタン・エクスプレスの路線図/画像:TCDD公式サイト

ツーリスト・イースタン・エクスプレスは、12月〜3月までの冬季限定で走行します。アンカラを出発して、カッパドキアの玄関口カイセリを通り、世界遺産ディヴリーイの玄関口スィヴァスを過ぎると、列車は風光明媚な大自然の中を走り抜けます。右側は3,000メートルを超える山脈、ムラト川・ユーフラテス川がつくりだした渓谷や、緑豊かなムシュ平原を通ってカルスへと向かいます。終点カルスは、世界遺産アニ遺跡の玄関口であり、手つかずの大自然が生み出した恩恵や、コーカサス文化の色濃い地域です。

所要時間

(下り)アンカラ~カルス間:約32時間32分
(上り)カルス~アンカラ間:約30時間40分。

主な停車駅
駅名↓(下り)カルス行き↑(上り)アンカラ行
アンカラ15:5505:15
ウルマック18:11翌々03:41
カイセリ23:2821:20
ボスタンカヤ翌03:2518:02※
ディヴリーイ05:4612:20※
イルチ09:53※08:22※
エルジンジャン14:34※06:26
エルズルム21:02※翌02:19
カルス翌々00:3722:35

注:時間はたびたび変更されるため、ツーリスト・イースタン・エクスプレスの公式サイトでご確認ください。
※印:2時間40分~3時間ほどの停車時間があり、TCDD主催の観光ツアーへ参加可能。

料金
ノーマル運賃
(シングルユース)
480TL(8,410円)
ノーマル運賃
(ペア)
589TL(10,602円)
13~26歳割引384TL(6,912円)
13~26歳割引
(ペア)
489TL(8,802円)
65歳以上240TL(4,320円)
65歳以上
(ペア)
300TL(5,400円)

※2人用寝台車のみ。
※アンカラ〜カルス間(片道) 1TL=18円(2020年2月現在)

イースタン・エクスプレス詳細
ルート
イースタン・エクスプレスの路線図/画像:TCDD公式サイト

ルートはツーリスト・イースタン・エクスプレスと一緒です。長い時間停車をしない為、およそ25時間で終着駅へと到着します。あくまで目的は寝台列車に乗ることであったり、世界遺産アニ遺跡の観光がメインの場合はこちらでも十分、車窓から美しいトルコの大地を愛でることができます。

所要時間

(下り)アンカラ~カルス間:約25時間
(上り)カルス~アンカラ間:約24時間30分。

主な停車駅
駅名↓(下り)カルス行き↑(上り)アンカラ行
アンカラ17:5509:56
ウルマック19:1708:19
カイセリ翌00:59翌02:22
スィヴァス04:4922:48
エルジンジャン11:3416:23
エルズルム16:1312:06
カルス20:2708:00

注:時間はたびたび変更されるため、イースタン・エクスプレスの公式サイトでご確認ください。
停車時間は、それぞれ5分~10分ほどです。

料金
普通車
(肘掛け椅子)
212TL(1,484円)
クシェット(2~4人用簡易寝台個室)382TL(2,674円)

※往復割引は20%適用可
※アンカラ〜カルス間(片道) 1TL=7円(2023年4月現在)

予約方法
イースタン・エクスプレス

予約は、TCDDの公式サイトから予約できます。
※発売日:乗車日の1か月前。
※見知らぬ異性同士の、同個室、隣席は宗教上の理由によりできません。
クシェットは1車両のみで、席数が少ないため、空いていれば迷わずご予約を。また、冬季限定のツーリスト・イースタン・エクスプレスも、空いていれば大変ラッキーな状態。同時に、カルスのホテルに空室があることを必ずチェックしてください。カルスのホテルは、年中満室状態で、稼働率は100%近くです。
犠牲祭/断食明け祭のバイラム(大型連休)は大変混み合います。

基本情報
運行時間0:00-23:59
クレジットカード乗車券購入時利用可能
※車内は不可
公式サイトhttps://www.tcddtasimacilik.gov.tr/tren/dogu-ekspresi/
https://www.tcddtasimacilik.gov.tr/seferler/turistik-dogu-ekspresi/
その他情報
ギャラリー

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