
サルタナだけじゃない!トルコで買えるレーズンの種類と安全性
公開日 2025年12月8日 最終更新日 2025年12月8日

こちらの記事で書いたとおり、トルコのブドウの固有種は1200種ほどあり、うち50種は商業用に栽培されています。それらは、生食のほかに、ジュース、ワイン、糖蜜、レーズン、ブドウの葉料理、と様々に活用されます。

中でもトルコ産レーズン(Kuru Üzümü)「サルタナレーズン」は日本でも手に入りやすいトルコ原産のブドウです。この品種は、エーゲ海地域からギリシャをとおってカリフォルニアへと渡り、トンプソンレーズン(カリフォルニアレーズン)として世界中に広まりました。つまり、カリフォルニアレーズンは、サルタナの変種となるのだそう。
トルコのレーズンと、その安全性もまとめてみました。
こちらはレーズン編。
ブドウはこちら。
ワインとワイナリーはこちら。
ブドウ原産国トルコのレーズン

ブドウの王様「スルタニエ」(サルタナ)は収穫量がダントツに多く、トルコで広く一般的に食べられていて、世界的にもメジャーな品種。
- Sultaniye (スルタニエ)
- Manisa Sultani Çekirdeksiz Üzümü(マニサ スルタニ 種無しブドウ)
- Çekirdeksiz Sarı Üzümü(種無し黄ブドウ)
- Çekirdeksiz Siyah Üzüm(種無し黒ブドウ)
- İzmir Üzüm(イズミルブドウ)
等と表示される、種無しの黄色または黒のレーズンです。

サルタナは種無しですが、トルコでは、カラマンレーズンのように種ありのものや、大きめ品種、グリーンレーズンもあり、栄養価も高いとされます。南東アナトリア地域で主に生産される「ホロズカラス」などの品種もそれにあたり、ミネラルがたっぷり。

このサルタナのほかにも、ベスニレーズンは全国で名が知られるレーズンです。ほかには、バナズカラス、ディリム、ドキュルゲン、ルーミ、サマンジュ、セルギカラス、ギョクなどの品種があり、地場レーズンとしてそれぞれの地域で販売されています。市場などでサルタナ以外のレーズンを見かけたら、ぜひ試したいですよね。
これらのブドウの詳細はブドウ編に記載しています。
安全?トルコのサルタナレーズンの作り方

私個人がマクロビ実践者だったせいか、トルコなりアメリカなりの、レーズンの安全性はとても気になります。一般的に、農薬や薬剤を使ってること、オイルコーティングされてることは知っていたので、サルタナレーズンについて、詳しく調べました。

結論として、トルコ産レーズンの安全性は、スーパーなどで手に入る一般的なものは、農薬、炭酸カリウム浸漬液、オイルコーティングはされているものが多いということ。トルコ人はもちろん、世界でも食べられる安全なものですが、農薬や添加物が気になる方は、無添加、オーガニック、〇〇不使用、と書かれたレーズンを買うのがベストです。
レーズンの王様!サルタナレーズンの作り方

サルタナレーズンは、新鮮なブドウが最も熟した時期をみて、数日のうちにすべてのブドウを収穫します。収穫後、約97%の水、約1.5%の炭酸カリウム(Potasyum Karbonat)、約1.5%の酸性が強めのオリーブオイルを混ぜ合わせた浸漬液にブドウをつけます。適切な場所に広げ、約1週間天日干しします。
炭酸カリウムをほぼ必ず使う
溶液を使わないと、乾燥には25~30日ほどかかり、その間に雨が降るとブドウは全部枯れてしまうため、溶液を使います。炭酸カリウムは、中華麺・かんすいに使われる食品添加物です。

この溶液は、ブドウの皮の表面にあるワックス層(クチクラ)を化学的に溶かす役割を果たします。このワックス層は、ブドウの水分が蒸発するのを妨げる働きがあるため、これを取り除くことで乾燥を促進させることができます。

さらに、ブドウは直射日光に当たると黒ずんでしまい、日焼けしたブドウは価値が下がってしまいます。溶液を使うと直射日光が遮られ、黄色いレーズンになります。

また、レーズンがくっついてしまわないよう、ヒマワリ油などでオイルコーティングされているのが通常です。
添加物なしの有機レーズンの表記について

無添加の有機レーズンはトルコでも販売されています。「Doğal(自然な、天然の)」や「Organik(オーガニック、有機栽培の)」「〇〇Köyü(〇〇村産)」表示は、一つの安心の目安。ただし、上記表示が書いてある場合でも有機とは限りません。さらにGoogle翻訳などのカメラ機能で表示を確認します。
念の為、下記に該当のトルコ語を記載します。
炭酸カリウム不使用

炭酸カリウムはトルコ語で 「(Potasyum) Karbonat」。これについては表示する義務はないので、パッケージに表示はありません。
Potasyum karbonat içermeyen: 炭酸カリウムを含まない
Potasyum karbonat kullanılmadan: 炭酸カリウムを使用せずに
漂白剤不使用

漂白はトルコ語で 「Ağartma」「Beyazlatma」。「漂白剤」は 「Ağartıcı」。
Ağartıcı içermeyen: 漂白剤を含まない
Ağartıcı kullanılmadan: 漂白剤を使用せずに
Ağartılmamış: 漂白されていない
Ağartıcısız:漂白剤なしの

二酸化硫黄はトルコ語で「Sülfür Dioksit」
Sülfür dioksit içermeyen: 二酸化硫黄を含まない
Kükürtlenmemiş: 硫黄処理されていない
その他のキーワード

Gün Kurusu Üzüm
天日干しレーズン
Doğal Kurutulmuş Üzüm
天然レーズン
乾燥工程で化学物質が使われていないことを強く示唆。
Organik Kuru Üzüm
オーガニックレーズン
有機農法で栽培され、通常、化学薬品の使用が厳しく制限。
Kükürtlenmemiş ve Doğal
硫黄処理されておらず、天然の。
特に二酸化硫黄による漂白が行われていないことを明記。
Hiçbir Katkı Maddesi İçermez
いかなる添加物も含まない
包括的な表現で、炭酸カリウムや漂白剤なども含まれていない可能性が高い。
村の手作りを応援したい

炭酸カリウムなどは、トルコのみならず世界中で使われている生産性を高める方法で、ギョクブドウのように、昔から天日干しせず乾燥させる手法もあります。儲かりづらいし重労働なのに、日本以上に物価高半端ないこのご時世なのに、昔ながらのやり方を守ろうとする方々を応援したい気持ちになります。

大きな声では言えないけれど、トルコは実は、インドに次ぐ農薬大国という噂もあります。気分的なものであっても、日本以上に気を使っておきたい、今日このごろです。

