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トルコで大人のリトリート旅!ワイナリーとヴィンヤードホテルとは?

公開日 2025年12月8日 最終更新日 2025年12月8日

ビンヤードに実るブドウと葉/イメージ

最近になってワイン好きになった私。ワインはスーパー(外資系だけ)やテケル(青い看板のお酒販売店)で買えるイスラム教の国。調べてみたら、国内でビンヤードと美食探求が趣味なトルコ人がけっこういて、びっくり。

エーゲ海地域でワイン/イメージ

私用のメモも兼ね、トルコのワイン、ビンヤードとワイナリーをまとめてみました。ブドウとワインと旅を愛する皆様の役に立てれば幸いです。

こちらはワイン編。
ブドウ編はこちら
レーズン編はこちら

トルコワインの歴史
ブドウ園のオキュズギョズ/エラズー

アナトリア半島におけるワイン造りの歴史は、ワイン発祥の地の一つとされるジョージアと隣接していることからわかるとおり非常に古く、紀元前4000年〜3500年頃にまで遡ると言われています。

ビンヤード/イメージ

紀元前2000年頃にアナトリア中央部で栄えたヒッタイト帝国では、すでにワインが飲まれていたようです。広範囲でブドウが栽培されていたことや、ワインやその価格に関する記述などが、当時の文献や石板に残されています。

ビンヤード/イメージ

オスマン帝国になってから、イスラム教徒によるアルコール製造は禁止されたものの、ブドウの栽培は、食用として引き続き行われ、多くの固有品種が守られました。しかし、ギリシャとの住民交換や、キリスト教・ユダヤ教徒の減少ともにワイン醸造とブドウ栽培も比例して減少していくようになります。

ラクとメロンは相性抜群

トルコ共和国が成立した20世紀に入り、トルコ建国の父アタテュルク(大のお酒好きだったそう)は、国民にワインの利点を認識させるため、1920年代に国営の醸造所設立を推進。これが、アルコール飲料専売公社TEKEL(テケル)設立のきっかけになります。

ビンヤード/イメージ

TEKELは、広大なブドウ畑を管理し、国内に複数の工場を建設。これにより、トルコ全土に高品質なワインを安定供給することが可能になりました。TEKEL設立前から一部の民間企業がすでに製造販売をしていましたが、TEKELは、ワイン醸造に関する技術やノウハウを蓄積しこれを民間に広めたため、後のトルコワインの発展にも大きく貢献。

ビンヤード/イメージ

TEKELのおかげで、ワインはトルコ国民にとって身近な存在となります。TEKELが2004年に民営化されメイ社に買収された後、その独占体制が崩れたことで、質の高いワイン造りを目指す中小の民間ワイナリーが次々と誕生。これにより、トルコワインの多様性と品質が飛躍的に向上し、国際的な評価も高まってきています。

厳しいワイン業界を支える起業家たち
葡萄の産地カッパドキアでワイン

そして近年。トルコは、マナーを守れば飲酒が許容されるイスラムの国ですが、アルコール飲料のいかなる形での広告や、消費者向けのプロモーションが禁止されています。さらに、ワインを含むアルコールの増税が続いていて、家庭での醸造も禁止に。

ヤプラックサルマス

トルコ界隈では、ピラフをブドウの葉で巻いたオリーブオイルの前菜・ヤプラックサルマスが国民食。ブドウの果実よりブドウの葉を販売したほうが高く売れるため、ブドウの果実を守る葉まで収穫してしまうのだとか。こういった諸事情により、厳しいトルコのワイン業界。

テキルダーキョフテとワイン

それでも、一部の裕福層において、ワインやシャンパン、美食を極めようという動きが顕著で、シャンパンの消費量も実際、増えているそうです。

ビンヤード/イメージ

絶滅寸前の品種を復活させ、古樹を守り、海外で高い評価を受けるワインを造るワイナリーや、フランスなどの他国と提携を結んだり、「〇〇ビンヤード・ルート」のようにブドウ園を中心に地域を観光地化して、トルコワイン業界と地域経済を盛り上げようとする起業家や企業が数多くあります。

TORIKO
TORIKO
ちなみに、アタテュルクさんの大好きなお酒は、ブドウから造る蒸留酒ラクでした。
ワインが購入できる場所
トゥラサンワイン/ユルギュップ・ネヴシェヒル・カッパドキア

観光地なら、お酒を出すレストランやメイハーネやワインバーがあり、外資系スーパー(ミグロスなど)でも国産ワインは入手可能。それらのお店に行くと、国産ワインもピンキリ価格でそれなりに種類があります。都会や観光地以外なら、EFESサインが目印の青い看板のテケル(TEKEL/酒類販売店)で購入できます。

ブドウの産地カッパドキアでワイン

生産者から話を聞きながら直接買うことは、それだけでお互いに大変な価値がありますよね。主なワイナリーを下記でご紹介しようと思います。

主なワイナリー
ワイナリーの樽/イメージ

トルコのワイン産業は、国内市場だけでなく国際的にも評価が高まっているそうで、多くの小規模ワイナリーがあります。特にそれらは、マルマラ海地域(トラキア地方)とエーゲ海地域、アンカラ郊外のカレジッキ地区に集中。全てを掲載できていませんが、順次追加していければ、と思っています。

(掲載は順不同)

マルマラ海地域(トラキア地方)
マルマラ海地域でワイン/イメージ

メイ社とは?

メイ社は、ロンドンに本社をおき、ギネスやジョニーウォーカーを保有する世界最大のアルコール販売会社ディアジオ社の子会社。「イエニラク」で知られる蒸留酒ラクも、メイ社の傘下。

エーゲ海地域
エーゲ海地域でワイン/イメージ

Çal Bağ Yolu とは?

Çal Bağ Yolu (チャル・バウ・ヨル)は、​Erdel、Kuzbağ、Küp、Lermonosの4つのワイナリーが共同で立ち上げた、ワインと観光を組み合わせたプロジェクト。ワインの試飲やワイナリー見学だけでなく、この地域の歴史や自然の美しさも体験できるそう。詳細はワイナリーのWEBで。

地中海地域

地中海地域でワイン/イメージ

中央アナトリア地域(カッパドキア含む)
中央アナトリア地域でワイン/イメージ

ワイン好きが集うカレジッキ地区

1940年代にテケル(国営の酒販売会社)がワイナリーをアンカラ郊外のカレジッキ地区に創設したカレジッキは、固有種カレジッキカラスの産地。​周辺にはレストランを併設したワイナリーが点在しています。

黒海地域
黒海地域でワイン/イメージ

バーオテルとレストラン
ウルラのワイナリー

バーオテル(Bağ Otel)、バーエヴィ(Bağ Evi)、バーコナウ(Bağ Konağı)とは、いずれもワイナリーに併設され、自社でワインを生産し、ワインテイスティング、ブドウ園ツアー、美食体験、宿泊などの特別なアクティビティを楽しめる施設群です。欧米での「ヴィンヤード」「ヴィンヤードホテル」にあたります。

ブドウ園とワイン/イメージ

トルコでのビンヤードの始まりはトラキア地方(イスタンブールの西・ヨーロッパ大陸側)からだったようです。クルックラーレリからチャナッカレの半島にかけて広がるブドウ園は、「トラキア・ブドウ園ルート(Trakya Bağ Rotası)」とよばれるエリア。そこに、おしゃれなレストラン、ホテル、ワイナリーが集まるようになりました。

ウルラ・ワイン/イズミル

また、ワインとオリーブの産地イズミル市ウルラでは、舌が肥えた裕福層が集まる美食の街ワインやお酒を提供する高級レストラン宿泊施設を備えた創作料理のレストランなどがあり、ワインや美食を愛するトルコ人たちの注目を集めています。

ウルラのブドウ園/イズミル

ホテルは、おおむね中〜小規模の宿泊施設で、特にブドウの収穫期、晩夏から初秋にかけてのヴィンテージシーズンは混み合うため、早めの予約が必要です。

マルマラ海地域(トラキア地方)

Dessera Bağ Evi(デッセラ・バーエヴィ)
BAKUCHA Vineyard Hotel(バクチャ・ヴィンヤードホテル)
Hotel Caeli (ホテル ジャエリ)
Talay Bağları Konak Evi(タライバーラルコナックエヴィ)

エーゲ海地域

Urla Bağevi Vineyard Hotel(ウルラ バーエヴィ)
TERUAR URLA(テルアル ウルラ)
Two Rooms Hotel(2ルームスホテル)
Vinifera Vineyards Hotel(ビニフェラ ビンヤーズホテル)

地中海地域

Wiyana wanda hotel & restaurant(ウィヤナ ワンダ ホテル&レストラン)

中央アナトリア地域

SUNOLUS VINEYARD HOUSE(スノルス ビンヤードハウス)

黒海地域

Eskibağlar Butik Otel(エスキバーラル ブティック ホテル)

発酵をおさえたブドウ飲料も
ビンヤードでワインを/イメージ

ボルドーで学んだブリュワー、ワインに魅了されたヨーロッパ居住経験のある起業家がタッグを組んでビンヤードを経営しているワイナリーが多い印象です。

ブドウジュース・シュラ/イメージ

アルコールが苦手な方には、主に東トルコで作られている、ブドウの発酵飲料シュラ(Şıra)がおすすめです。

ワイン・ショップ/シリンジェ・セルチュク・イズミル

また、シリンジェなどでは、観光客向けにワイン以外の果実酒も製造販売されています。

参考: Tarım ve Orman Bakanlığı , Wine of Turkey , oogusto , Tast Atlas , Hurriyet , economim ,友人たち、ほか多数。ブドウ編下部記載の頁も参照。

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