7つの丘とモスク | イスタンブール

公開日 2023年3月3日 最終更新日 2024年4月7日

概要

イスタンブールには、”テペ”と呼ばれるいくつもの丘が存在していて、歩いてみると、なるほど坂道が多い街であるとわかります。観光スポットめぐりも楽しいイスタンブールですが、”7つの丘めぐり”という視点からの街歩きも、なかなか乙なもの。なので当サイトでは、ご紹介する7つの丘にならって、イスタンブールをエリアわけしてみました。

繁栄極めたローマに倣って
イタリア・ローマの街並み

イタリアのローマを観光で訪れるなら、ガイドブックで必ず目にするであろう「7つの丘」は、ローマ帝国繁栄の歴史を知る上で欠かせないキーワードです。長い間、広大な領地を支配し続けたローマ帝国の首都ローマは、7つの丘に囲まれていたことに倣って、東ローマ帝国の首都コンスタンティノープルにも7つの丘をつくり、それぞれの丘に聖なる建物を建てていました。

ローマ/イメージ

7つの丘があることの重要性は、ただローマに倣っただけではありませんでした。元々、ローマ帝国の7つの丘は、地球の周囲を囲む、太陽、月、水星、金星、火星、木星、土星の7つの惑星をあらわしているとされていて、宇宙からのパワーも受け取る意味合いがあったのだとか。東ローマ帝国皇帝が引き継いだ古代の叡智は、オスマン帝国皇帝も受け継ぎ、7つの丘にはそれぞれ、重要なモスクや建物が建てられていました。それらを簡単にまとめてみました。

7つの丘まとめ
1. サライブルヌの丘/トプカプ宮殿周辺
サライブルヌの丘周辺

東ローマ帝国時代~オスマン帝国時代にかけて宮殿があった場所は、現在もイスタンブール旧市街観光の中心を担います。サライブルヌの丘は、海抜30~40メートルほどあり、トプカプ宮殿とその周辺を歩いているだけではわかりませんが、海から眺めると、丘の上にあるのがよくわかります。7つの丘の中で、政の中枢機関が置かれた、最も重要な丘です。

2. チェンベルリタシュの丘/ヌールオスマニエ・モスク周辺
チェンベルリタシュの丘周辺

宮殿があるスルタンアフメット地区から、トラムヴァイが走る大通りをグランドバザールに向かって歩くと、緩やかな上り坂になっています。この坂道は、チェンベルリタシュの丘へ向かう道です。丘には、大きな柱が一本建っていて、この柱は”チェンベルリタシュの柱”別名コンスタンティヌスの柱とよばれるもので、この辺りが丘の中心地です。歴史あるチェンベルリタシュ・ハマムやグランドバザールはすぐそこです。

3. ベヤズットの丘/スレイマニエ・モスク周辺
ベヤズットの丘周辺

ベヤズットの丘は、チェンベルリタシュの丘のすぐ隣に位置しています。ベヤズット・モスク、スレイマニエ・モスクなど、観光客がよく訪れるスポットがあります。この丘は、海抜50~60メートルで、スレイマニエ・モスクのある辺りが一番頂点とされています。”エスキ・サライ”とよばれる旧宮殿は、この丘のイスタンブール大学の場所にありました。

4. ファティの丘/ファティ・モスク周辺
ファティの丘周辺

ファティの丘は、コンスタンティノープルの城壁が築かれた場所であり、旧市街のある半島の中でも、最も海抜が高い場所にあります。ファティの丘で一番の観光地は、征服王メフメト二世の眠るモスクとなるファティ・モスクで、イスタンブールで最も古く、最も重要なモスクです。モスク近くの公園では、イスタンブール最大の青空市場も開かれています。

5. ヤウズ・セリムの丘/ヤウズ・セリム・モスク周辺
ヤウズ・セリムの丘周辺

金角湾を見下ろす小高い丘は、”ヤウズ・セリムの丘”とよばれます。イスタンブールで最も美しいとされるモスクと称される、ヤウズ・セリム・モスクがある丘は、東ローマ帝国時代、多くの教会が建てられた場所であり、オスマン帝国建国後も、モスクに神学校や霊廟を併設する複合施設が複数建てられていました。この丘には、多くの学者たちが居住するエリアでした。

6. エディルネカプの丘/ミフリマー・スルタン・モスク周辺
エディルネカプの丘周辺

エディルネカプの丘は、テオドシウスの壁が建てられたエリアで、壁のすぐ内側にあり、旧市街の最西端を担っています。旧市街の中心地からは少し距離はありますが、訪ねるべきスポットはたくさんあります。カーリエ・モスク、テオドシウス城壁の門、ミフリマー・スルタン・モスク、テクフル宮殿が見どころです。

7. コジャ・ムスタファ・パシャの丘/ハセキ・スルタン・モスク周辺
コジャムスタファパシャの丘周辺

イスタンブールの中で最も歴史ある地区が、コジャムスタファパシャの丘です。中心となっているのは、ジェッラフパシャ・モスクで、ミマール・シナンの弟子によって建てられたモスクです。また、スレイマン皇帝の妻であるハセキヒュッレム・スルタンが、初期の頃、シナンに建てさせた複合施設と、オスマン帝国最後のモスクがあります。このエリアの西には、7つの塔がある要塞があります。

【番外編】新しい2つの丘と夜景スポット
チャムルジャの丘からの夜景/イスタンブール

「イスタンブールの丘といえば?」と尋ねられて真っ先に思いつくのは、「チャムルジャの丘」か「ピエールロティの丘」かな、と思います。これらの丘は、現代のイスタンブールにおいては、なくてはならない丘ですが、コンスタンティノープルを守る城壁の外にあった丘なので、7つの丘には含まれていません。

8. ヤムルジャの丘/ユスキュダル
チャムルジャの丘周辺

ユスキュダル区にあるチャムルジャの丘は、ブユックとキュチュックとよばれる大小の丘で構成され、ブユック・チャムルジャの丘は、現イスタンブールで最も高い丘であるため、多くのテレビ塔が建てられていました。近年それらはチャムルジャ・タワーに集約され、新たな観光地となっているほか、世界最大のモスクとなる、ブユック・チャムルジャ・モスクも完成し、地元の人々や観光客で賑わっています。イスタンブールの夜景を見るならこの丘がおすすめです。

9. ピエールロティの丘(エユップスルタンの丘)/エユップスルタン
ピエールロティの丘周辺

日本にも来日したことがある、フランス軍人でありながら作家のピエール・ロティがお気に入りだった丘へは、ケーブルカーに乗車します。夕焼けの名所として知られ、夕方には大勢の観光客で賑わいます。また、イスラム教の偉大なる聖人が眠るエユップ・スルタン・モスクは、イスラム教の聖地。丘の上には、聖人の近くで眠ることを希望した人々の墓碑が建ち並んでいます。

※この記事は、登録日(最終更新日)時点の取材情報を元に作成しております。実際に訪れていただいた際、スポット(お店)の都合や事情により記載してある記事の内容と差異があることがあります。どうぞご了承くださいませ。
※参照元:Fatih Belediyesi Web Sitesi”Yedi Tepesi”

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