
7000年の歴史あり!トルコ固有種のブドウまとめ | トルコ旅行

トルコでは、ブドウは至る所に実っていますが、その固有種は千を超え、7000年もの歴史があります。レーズン、ジュース、ワイン、蒸留酒ラク、ペクメズ、ブドウの葉の前菜、等と多岐にわたり大活躍。トルコから世界中に広まった品種もあります。

最近ワイン好きになったという超個人的理由で、トルコのブドウと歴史をまとめてみました。
こちらはブドウ編。
レーズンはこちら。
ワインとワイナリーはこちら。
トルコのブドウの歴史

トルコはブドウの原産地の一つです。アナトリア半島やコーカサス山脈一帯では紀元前5,000年頃からブドウが栽培されていて、1200種類もの固有品種があり、国際品種も栽培されているため、世界トップクラスのブドウ生産国となっています。

実際トルコを歩くと、個人宅含め至る所にブドウがなっていて、(ダメと思うけど)道にぶら下がるブドウを「トモダチダカラダイジョブ」といい、プチッととって一粒食べるトルコ人もいます。

ブドウの作付面積と生産量は世界有数ですが、ワインになるのはそのうちのたった2%。アナトリア半島からキリスト教、ユダヤ教系の住民がいなくなってからは、ワインより、生食またはレーズンが主流です。

日本でもサルタナレーズンでお馴染みのスルタニ種は、19世紀にクレタ島を経由して世界やアメリカに渡り、トンプソンレーズン(カリフォルニアレーズン)として広まることに。つまり、カリフォルニアレーズンはサルタナの変種ということになるそうです。(参照:マニサ市)
トルコ固有種のブドウ

トルコ人が入植する前、キリスト教徒が多く住んでいた時代にはかなり盛んだったブドウ栽培とワイン造り。アナトリア半島がイスラム教になったことや、ギリシャとの住民交換があったこと等により、徐々に商業用の栽培は減ったとはいえ、固有種は1200種ほどあり、そのうち50~60種ほどが商業用に栽培されているそうです。

生食用からブドウの葉用まで、トルコ特許庁で地理的表示を受けている品種を中心にまとめてみました。(*は特に有名な品種)
ちなみに「カラス」や「カラ」は「黒い」という意味です。
ブドウの産地

ブドウ園は、テキルダー、クルックラーレリ、チャナッカレ、イズミル、デニズリ一帯の、マルマラ海地域トラキア地方〜エーゲ海地域に特に集中。
少し古い資料ですが、トルコ農林省によれば、ブドウ収穫量は、エーゲ海地域で全体の約半数を占め、レーズンの生産量の約9割はマニサ市です。
マルマラ海地域

トラキア(テキルダー、クルックラーレリ)〜エーゲ海チャナッカレにかけて広くブドウ園が広がる。ワイナリーも多く、「トラキア・イルケレン(Trakya İlkeren)」が生まれた場所。
エーゲ海地域

トルコ最大の産地で、特に、イズミル(ウルラ含)、マニサ、デニズリ周辺に広大なブドウ園が広がる。中でもウルラはワインと美食の街。トルコを代表する品種「スルタニエ(Sultaniye )」の一大産地で、マニサはそのレーズン「サルタナレーズン」の産地として知られている。
中央アナトリア地域

アンカラ郊外のカレジッキ地区にワイナリーが点在。ネヴシェヒル、カイセリにもブドウ畑が広がる。標高が高く寒暖差が大きいので、糖度が高いぶどうができやすく、「カレジッキカラス(Karecik Karası)」をはじめ、火山性の大地で栽培される品種が多くある。洞窟を利用してブドウやワインを保存する伝統も見られる。
東アナトリア地域

エラズー、マラティア、キリス辺りがもっとも盛ん。標高があって涼しいので香りのあるぶどうが育つ。エラズー生まれのアナトリア最古品種のワイン「オキュズギョズ(Öküzgözü)」や、ディヤルバクルの「ボアズケレ(Boğazkere)」はトルコ赤ワインの代表格。マラティアでは「バナズ カラス(Banazı Karası)」のレーズンも特産。
黒海地域

多湿な黒海地域はブドウ栽培に適さないが、大陸性気候となる内陸部では栽培される。「アマスヤのブドウは〜」と歌に謳われるほどブドウ栽培が盛んだったアマスヤでは、イタリアで栽培されるマルゼミーノの原産「メルズィフォンカラス(Merzifon Karası)」が復活。また、トカットの「ナーリンジェ(Narince)」は、ワインのほか、ぶどうの葉も有名。
南東アナトリア地域

高温な環境になる南東アナトリア地域では、チグリス・ユーフラテス川沿いのディヤルバクルで、タンニンの強い赤ブドウ「ボアズケレ(Boğazkere)」の栽培が盛ん。また、ガズィアンテプでは、レーズンにもなる甘くて栄養豊富な食用のぶどう「アンテプカラス(Antep Karası)」の産地。
ペクメズと発酵飲料シュラ

ブドウは、ジュース、ワイン、レーズンなどに加工されますが、トルコでは糖蜜(ペクメズ・モラセス)や、シュラ(ブドウ発酵飲料)づくりにも使われます。

ペクメズは果汁を煮つめて作りますが、シュラは、主に南東アナトリアやトルコの東側で作られる、ワインのように圧搾して発酵させた飲料で、独特の香りがあります。アルコールフリーまたは微量で、一部スーパーやレストランで販売または注文できます。見かけたらぜひお試しください。
参照:農林省ジャーナル(2 3)、ディアジオ社公式サイト、ディヤルバクル市観光局公式サイト、マニサ市(2)、エルジンジャン市、キリス文化観光省、メヴラーナ開発庁、農林省生産物レポート2015 ÜZÜM、農林省2019 OCAK ÜZÜM、農林省掲載ユルドゥズ・ディリ博士スムル・カデル博士の論文、karaot、Anadolu Ajansı、Wikipedia、TÜRKİYE KÜLTÜR PORTALI、友人たち、ほか多数。


